赤ちゃんの抱っこと抱きぐせ

 泣いている子を抱き上げると泣き止むのは気持ちが良いからです。赤ちゃんは抱っこされると、抱っこした人の温かみや体動を感じ、赤ちゃんの持つ動物としての本能が自分は守られていると感じ、安心します。抱っこされないで育つと情緒が不安定な子に育つといわれます。逆に、親は赤ちゃんを抱っこすることで、赤ちゃんの温もりや体動を感じ、その生命力や守ってあげなければならない存在を実感します。抱っこは親にとっても子どもとの一体感を感じる上で大切です。

1、なぜ泣くのか

 生まれてすぐの赤ちゃんはお腹の空いたときに泣きますが、しばらくすると暑い、寒い、痛い、オシッコ、ウンチ、ゲップが出そうなど不快な気持ちにも泣くようになります。知恵がついてくるに従い、さびしい、人が近くにいてほしい、かまってほしい、親の関心を自分に向かせたいなどの欲求や甘える気持ちが出てきます。しゃべって自分の意思をうまく伝えられるようになるまでの年齢の子や言葉だけでは周囲が反応してくれないと判断した場合では泣くのが一番の手段だと子どもはよく理解しています。誰も泣く子には勝てないのです。

2、抱きくせ

 よく「抱っこばかりしていると抱きぐせがつく」という言葉を耳にします。抱っこする時間は1日せいぜい数時間程度であり、赤ちゃんは抱きぐせがつくほど長時間抱いてもらってはいません。抱っこしている時には機嫌が良かったのに床に下ろすとぐずる赤ちゃんや抱っこしている時には寝ていたのに布団の上に寝かせようとすると泣き出す赤ちゃんがいます。一般にこのような状況が多いと「抱きぐせがついた」と表現します。赤ちゃんは抱っこされて守られ、安心できる気持ちの良い所から別な所に移されるわけです。文句の一つも言いたくなるのかもしれません。寝かされて暑いのかもしれません。濡れたオシメが寝かされると気持ち悪くなるのかもしれません。この赤ちゃんは抱っこが大好きなのかもしれません。抱っこの大好きな赤ちゃんには抱っこをしてあげて下さい。抱きぐせなどつくはずはありません。無視して下さい。ほずりをしたり、やさしく話かけたりして下さい。忙しくて抱っこできない場合でも、抱っこしてくれと泣いている赤ちゃんにほほずりをしたり、言葉を理解できるかどうかは別にして「忙しいから待っててね」など話かけてあげてはいかがでしょうか。その気持ちの雰囲気だけででも赤ちゃんは安心してくれるかもしれません。

3、おんぶと抱っこ

 以前は大人が子どもをおぶい紐で背中におぶう「おんぶ」ばかりでした。子は母親の背中にしっかりと触れているので保温効果が得られ、安定感があり、子どもには心の安定が得られます。また、親は両手が自由に使えて仕事が出来るという利点もありました。最近は「おんぶ」が少なくなり、前に抱っこする形の抱っこバンドが普及し、母親と対面した形で抱っこされる「抱っこ」が多くなりました。「抱っこ」では手は使いにくいのですがお互いの表情が見られて便利です。どちらにも利点がありますので、家庭の状況で選択して下さい。ただ、いずれにしても首が安定するまでは児の頭を親の腕にのせた抱っこです。

4、抱っこと成長

 赤ちゃんの時期を過ぎても子どもは親に抱っこしてもらいたがります。歩き疲れたなどということもありますが、親の愛情の確認や親の関心を自分のほうに向かせたい時、しんどくて甘えたい時によく「抱っこ」と訴えます。本人は赤ちゃんの時期にしてもらった抱っこの時間や回数だけでは物足らない、まだまだ不足していると感じているのかもしれません。弟や妹が生まれて、親の関心が少なくなった時など「赤ちゃん返り」という表現をしますが、特に抱っこをしてもらいたがります。どんな状況でも、どれほどの長い時間でも子どもが抱っこをしてもらいたがっていれば、可能な限り抱っこをしてあげて下さい。出来ないときには、子どもに「ごめんね」と抱っこ出来ない理由を子供の理解できる言葉で伝えて下さい。ただ、無理な時は無理と伝えるけじめは必要です。興味を他に向かせるのも方法です。どんなに抱っこをしてあげても甘やかすことにはなりません。甘えん坊な子どもにすることはありません。何かいやなことがあって泣いている時や道で転んで痛くて泣いている時などでは抱きしめて慰めてあげてください。落ち着きのない子、よくメソメソ泣く子、かんしゃくをおこしやすい子、赤ちゃん返りした子では特に抱っこが必要です。「こんなに愛しているよ」「こんなに心配しているよ」と気持ちを込めて抱いてあげて下さい。毎日、出来るだけ抱しめてあげて下さい。声をかけてあげて下さい。子どもとお話をしてあげて下さい。幼稚園児でも小学生になってからでも、抱っこが必要な子には抱っこをしてあげて下さい。抱っこは子どもの心を豊かにし、安定させます