子供の腹痛

 子供は「おなかが痛い」「ポンポンが痛い」とよく訴えます。しかし痛みの場所を話せたり、示したり出来るようになるのは3歳過ぎ頃からです。小さくてしゃべれない子は泣くことで腹痛を訴えます。特に赤ちゃんは話したり、痛みの場所を訴えたりは出来ません。機嫌が悪いだけです。また、「ぽんぽんが痛い」は必ずしも腹痛を訴えているとは限りません。「ウンチ」「オシッコ」「吐きそう」「筋肉痛」など色々です。
 
腹痛を訴えた場合は稀には急を要する病気のこともありますが、
外科的な処置を必要とするのは1%以下です。普通は便秘、下痢、体調不良、心因性などが原因です。便意を感じたときに「トイレへ行きたい」や「おなかがきもち悪い」の代わりに表現することが多いのですが、「遊んでほしい」「しんどい」「行きたくない」「やりたくない」などの表現の代わりのこともあります。

1、腹痛
 
元気でおへその部分を手のひらで押さえて訴える程度のものから、顔をしかめながら体を前屈して訴える痛みまで様々です。前者の場合は小児科医を受診するほどのものは少なく、@おなかを手のひらでさすってあげることで本人は納得し、痛みが消失することがよくあります。どこか痛い部位があればさすってあげることで本当に痛い部位に手のひらが触れることになり顔をしかめたり痛みを訴えますので、小児科を受診するかどうかの目安ともなります。Aトイレに座らせて排便をさせ、便の状態をチェックします。トイレで座ることで腹痛は軽減することが多く、また下痢や便秘などの状況が判断できますし、便の色や臭い、粘液や血液の付着状況などがわかります。普段とは異なる便の場合はウンチをしたオシメや便を紙コップなどに入れて小児科に持参すると診断の助けになります。顔をしかめたり、体を前屈する姿勢をとる場合は腹痛が強烈ということを示しており、早急に小児科専門医を受診して診断をしてもらう必要があります。

2、腹痛の原因
 子供はよく急に腹痛を訴えます。
便秘や下痢による腹部の痛み、不快感であることがほとんどで、トイレで排便さすか浣腸で便を出してあげればほとんどの場合に痛みは消失します。出た便はチェックして下さい。排便でも治らない場合や便の性状が悪い場合は小児科専門医を受診して下さい。
 口癖のようにおなかが痛いと訴える子がいます。この痛みはへその周囲であることが多く、数分で治ったり、何か興味のあることがあるとすぐ治ったりします。
何か嫌なことや不安なことがあるのかもしれません。寂しさを訴えていることもあります。
 また、腹痛が朝に多かったり、月曜日に多かったり、痛む部位が変化したりする場合は
心因性腹痛を疑います。両親や友人、学校での人間関係などでもおこります。

1)便秘
 
硬い便を排便しようとするときに腹痛を訴えます。きばってうまく排便できれば良いのですが、便塊が大きすぎたり、きばると腹痛が来るのが嫌でその痛みのためにうまくきばれずに泣くなどよく経験します。この場合には浣腸などで排便すると腹痛は消失します。
 便秘がちな子供の場合、便秘のときの腹痛が嫌で排便するのを嫌がり、よけいに便秘がひどくなっていくこともあります。こういった場合には便を軟らかくする薬や浣腸などを使用し、
排便には痛みが伴わないということを子供に十分納得してもらう必要があります。

2)下痢
 
便の性状が悪くなればなる程、排便する直前に腹痛を強く訴えます。この場合も排便後は腹痛を訴えなくなります。便の色や臭い、血液や粘液の混入などに注意してください。

3)腸重積症
 3歳までの子に多く、風邪や下痢のときに腸が腸の中に入り込むためにおこります。その結果、腸が閉塞され
嘔吐が生じ、便に血液が混入します。この痛みは周期的におこり、泣いたり泣き止んだりを繰り返すという特徴があります。自然に治ることもありますが、多くは緊急的な処置が必要です。

4)自家中毒症
 食中毒ではありません。周期性嘔吐症やアセトン血性嘔吐症とも呼ばれています。
発熱や下痢、疲れなどがきっかけで腹痛や嘔吐をおこすことがあります。神経質な子供に多いとされており、おこしやすい体質の子がいます。血液や尿中に脂肪の分解産物のアセトン体が増えることで診断します。ひどくなれば点滴です。点滴が良く効きます

5)起立性調節障害
 
朝なかなか起きられず、顔色不良で腹痛や頭痛を訴えます。特に午前中に症状が集中します。立ちくらみや乗り物酔いもよく伴います。立ったときには下半身の血管を収縮させて脳へ行く血液を保つように起立性調節という作用が働きますが、この調節機能がうまくいかない人に症状が出現します。特に小学校高学年や中学校の思春期の子供に多く、風邪をひいたり疲れたりすると症状が強くなります。登校拒否と間違われる子もいます。朝に薬を飲めばよくなります。思春期を過ぎればほとんどの人は改善します。

3、注意点

1)便の観察
 便秘、下痢、色、臭い、血液や粘液の付着など、腹痛では
便の性状は重要です。場合によっては病院で浣腸してでも便を診てもらってください。発熱や嘔吐、元気がない、棒状のもので腹部を強く打った、尿に血液が混じる、尿の色が濃いなどの状況も医師に知らせて下さい。

2)子供の訴えを無視しない
 いつもの「ポンポンが痛い」だからなどと子供の訴えを無視しないで下さい。忙し場合は短時間でも結構ですから、
お腹をさすってあげたり、話を聞いてあげたりして下さい。子供は何かを訴えようとしています