便に血が混じる(下血)

鼻腔から肛門までの気管や消化管に出血がおこると便に血液が混じります(血便)。一般に、小腸までの出血では赤血球中の赤い色素であるヘモグロビンが胃酸などで酸化されるため、血液は黒っぽく変色しますので、黒っぽい便が出ますが、大腸や肛門での出血では赤い便になります。ただ、赤や赤黒い色素の含まれる食品を食べたり、ある種の抗生剤とミルクを一緒に飲んでも便は赤く、出血した便のようになります。下痢気味では、スイカやトマト、にんじん、赤パブリカを食べると赤みの帯びた便になり、海苔では黒っぽい便になります。便の赤や黒っぽい色が血液によるものかどうかは便の潜血反応をみる試薬で簡単にすぐ検査できます。心配な場合は便を持参してください。

1、便の色が赤い

1)痔、裂肛

便の外周に赤い血液が線状に付着したり、お尻を拭いたトイレットペーパーに血液が付いたりします。硬い便が原因のことが多く、排便時に痛がることもあります。出血は繰り返します。

2)腸炎

病原性大腸菌(O−157など)、サルモネラ、カンピロバクタなどの細菌による腸炎は粘液と血液が混じった下痢便となるのが一般的です。血液は粘液とともに出てくることが多く(粘血便)、悪臭があったり、便の色が緑になったり、腹痛や発熱を伴ったりします。

3)頻回の下痢便

水様の下痢が頻回になると腸の粘膜が傷害され、便に点状の出血が混入することがあります。

4)腸重積症

腸管の一部が突然に肛門側の連続する腸管内にもぐり込む状態で、その部分では腸管内が閉塞されます。一般には手術は必要なく、肛門から圧力をかけて重なっている腸管をゆっくり押し出して元に戻す方法が行われます。ただ、腸管同士の圧迫によりその部分では血流障害をおこしますので、長時間放置すると腸管壊死をおこし手術が必要になります。苺ジャム状と表現される粘液に血液が混じった粘血便と腹痛、嘔吐が特徴です。急に激しく泣きだし、少しして泣き止むといった状態を繰り返します。とにかく不機嫌で顔面蒼白にもなります。

5)メッケル憩室炎

便とは関係なしに暗紫色でブルーベリージャム様の色の出血が多量に出ます。稀な病気ですが、小腸が大腸につながる少し口側に胃粘膜ができることがあり、そこから分泌された胃酸が小腸に潰瘍を作り出血させます。一般には腹痛は伴いません。

)母乳栄養児

ビタミンKが欠乏すると出血しやすい状態となります。母乳栄養児の場合にビタミンKが欠乏しやすいといわれ、これが原因で血便となることがあります。新生児に出生直後、生後5日目、1か月目にビタミンKを飲ませることが一般に行われるようになりビタミンK欠乏症による血便はなくなりました。ビタミンKの欠乏ではなく、原因は不明で治療は必要ないのですが、母乳栄養児では元気で便も悪くないのに点状の出血が便に混入することがあります。

7)薬剤、色素

抗生剤のセフゾンはミルクと一緒に飲むと便が赤くなることがありますし、ギョウ虫の治療薬のコンバントリンは褐色の便になります。鉄剤の薬は便の色を黒くします。スイカ、トマト、にんじん、赤パブリカなども便を赤くします。

2、便の色が黒い

1)鼻出血

大量の鼻血を飲んだ場合に便が黒くなります。血液を多量飲むと嘔吐しやすくなりますので、吐血(血液を吐く)する場合もあります。

2)胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸での出血が大量の場合に便が黒くなります。この場合も吐血することがあります。