以前は重症となることが多かった赤ちゃんの下痢は、生活環境や栄養の改善の結果、軽症で治ることが多くなりました。しかし、冬に流行する嘔吐下痢症などは乳児では要注意です。
1、原因
1)ウイルス
@ロタウイルスやノロウイルスなどによる下痢:冬に流行し、水様の便となり嘔吐を伴いやすい
Aその他の風邪ウイルスに伴う軽症の下痢
2)細菌
病原性大腸菌(O−157など:主に牛肉)、サルモネラ(卵、亀などのペット類)、キャンピロバクタ(鶏など)などが原因菌となります。便に血液や膿が混入したり、悪臭のある下痢便が特徴です。
3)ウイルス性下痢の後にだらだら続く下痢
ウイルス性下痢の後に腸の粘膜が傷つき、乳糖などの吸収が悪くなるため、乳糖や濃い濃度の糖分が入った飲み物(牛乳やジュースなど)や食事が吸収しきれずに下痢がだらだら続きます。
4)過敏性腸症候群
大腸などの腸管の機能の異常により慢性の腹痛、便秘、下痢が続きます。
2、症状
便の回数が多くなったり、水っぽくなる状態です。便の色や臭いなどで原因が推定できる場合があります。
冬に流行するノロウイルスやロタウイルスによるものでは便の色は淡黄色からクリーム色になり、半日から丸1日の嘔吐が伴います。
3、食事
牛乳や乳糖を含むお菓子などは止め、糖分濃度の濃いジュースなども中止し、お茶、湯冷まし、乳児用(年齢に応じた)イオン飲料水を欲しがるだけ飲ませて下さい。消化が悪いと考えられる食事以外は欲しがるだけ与えることを心がけてください。食事をすることで腸の回復を助けます。
ただ、嘔気や嘔吐がある場合には、その間だけは食事は止め、少量の水分だけを与えて下さい。ごく少量(コップの1/4〜1/3程度の嘔吐しない量)のイオン飲料水やお茶を頻回に与えてください。その後、徐々に1回量を増やしていくようにします。イオン飲料水が十分飲めるようになったらできるだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。
注1、嘔吐や嘔気のある場合:一度に水分をたくさん飲ますと嘔吐します。お茶やイオン飲料水の1回量を少量にして頻回に与えるようにして下さい。胃が膨れるほど飲むと嘔吐します。少量の水分を与えて胃から徐々に吸収されるのを待ちます。
注2、乳糖や糖分の高い濃度の飲み物や食べ物:急性下痢の後や下痢が続く場合では腸の粘膜が傷害されていますので、乳糖(牛乳などに含まれる糖分)などの吸収が悪くなります。そのため、これらを多く含んだ飲料やお菓子、食事を与えると乳糖が吸収されずに下痢になります。
注3、なぜ、イオン飲料水か:嘔吐や下痢では胃液や腸液も一緒に出て行くため、水分だけでなく塩分(ナトリウムやカリウムなど)も体から出て行きます。そのため、年齢に応じた塩分や糖分が含まれているイオン飲料水は水分補給に適しています。
4、治療
軽症の下痢では牛乳やジュースを止めるだけで治ります。下痢がひどい場合のみ薬による治療が行われています。
下痢は体に不要なもの、害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に便を止めないのが一般的です。消化剤や乳酸菌製剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待つ治療法が行われます。抗生剤は便に血液の付着や悪臭が伴うなどの細菌感染が疑われる場合に使用しますが、ウイルスの下痢には効果がありません。子供の下痢のほとんどはウイルスが原因です。
嘔吐や下痢がひどく、口の中が渇いてきたりぐったりするなど脱水が疑われる場合には点滴による水分補給が必要です。小児科専門医を受診してください。
5、お尻のケア
頻回の下痢ではすぐにオムツかぶれになります。お尻を出来るだけ頻回に洗って乾かして下さい。ひどくなる場合はその後で軟膏を使用して下さい。
6、手洗い
家族にもうつります。便や吐物を触った手はよく洗って下さい。
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