| 乳幼児のかん虫、反抗期、こだわり
1、かん虫
赤ちゃんが激しく泣きやまない、夜泣き、食べない、すぐ不機嫌になる、奇声を発する、すねて動かないなど親の言うことをきかない、親が困ることをするなどを「かんむし」と表現します。この子はかん虫が出て困るや、「虫封じ」をしてもらう、「かん虫を切りに行く」ということも耳にします。虫封じの祈祷や虫封じの漢方薬の宣伝を目にします。かん虫を見た人はいません。大人の思うようにならないことを「かん虫が出た」と表現します。子どもは成長するにつれ自分の気持ちが出てきます。自分の思うようにならなければ子どもも腹が立ちます。子どもの思うようになることは少ないのです。子どもは大人とは異なりそれを表現する力を持っていませんし、ストレスを発散する手段もありません。自我が芽生え、腹が立つことを覚えると「かん虫」が出てきます。子どもがうまく成長している証拠です。病気のこともありますが稀です。まして、祈祷や短期間の薬が効くとは思われません。ただ、これらを行うことで親や家族が安心するという心の平穏さが取り戻されれば、子どもも精神的に安定するという有用性はあるかもしれません。
しかし、親もしんどくなりますので、何とか改善しないかと考えるのは当然です。疲れたら子育て中の友人か小児科専門医に相談しましょう。気持ちが楽になります。治すことをあせるより、かん虫とうまく付き合うことを考えて下さい。親が子どもと同じように感情的にならないように心がけて下さい。心にゆとりの持てるときは静かに見守ってあげて下さい。かん虫の強い子は感受性の良い子ですので、これをうまく生かしてあげて将来は感性の優れた人間に成長するように期待して下さい。
20年ほど前になりますが、剃刀の刃で手掌に小さな傷をつけて「かん虫切り」を行うという地方の「まじない」で、剃刀を何人もの子どもに使用したのでB型肝炎が何人にも感染したことがあります。体を傷つけるような「まじない」は止めて下さい。
2、第1反抗期
1歳頃までは親の言うことをきき、親を真似る「いい子」であったのに、2歳を過ぎる頃になると何でも「いや」と言うようになる。いやと言いながら制止する親の手を振り払ったり、物を投げたり、噛み付いたりといった抵抗をする「ほとほと愛想を尽かす」状況となります。一旦、機嫌を損ねると。自分のやりたいことや好きなことまで「いや」を貫きます。最初の反抗期です。
この頃には行動能力も増加し、知的関心も増してきますので、自分から積極的に色々やりたがります。しかし、危険であったり、周囲が困ることは親が禁止しせざるを得ません。しかし、子供は状況が理解できていませんので、親の「いけません」に対して、子は「いや」を連発して抵抗を試みます。つまり、自我が芽生えてきたということです。この年齢では世界の中心は自分であり、自分のしたいことは何でもするのが普通なのです。また、この頃ではしてはいけない理由を説明してもそれを理解できるほどの能力には至っていません。5歳ころまで待つ必要があります。この頃は自己中心的で、自分お考えを通そうとし、親の考えと衝突しますが、子供は言語表現力は十分でなく、自分の気持ちを親にわかってもらえないし、周囲の危険な状況なども理解できませんので、怒って物を投げつけたり、泣きわめく事になります。しかし、怒られ、注意されることによって自分の欲求はどのようなときに是認されたり拒否されたりするのか、どのような行動がほめられ、叱られるかを学んでいきます。この結果、他人の反応を予見し、社会に対する適応行動が発達していきます。してはいけないことを我慢し、しなければならないことを認識、体験することの大事な時期ですので、大暴れしている時でも過剰になだめたり、ご機嫌をとることは避けて、静観することも必要かもしれません。
子供が親に依存していた状態から自立していくために自我の芽生えは大切であり、逆に反抗しない子供を心配しなければならないのです。親は子供の勝手な行動に腹が立っても、反抗期に達したことを喜ぶ方に気持ちを切り替えるような心に余裕を持って接して下さい。意思が強く、自己の判断で行動できる立派な大人への第一歩なのです。反抗しない子供の場合、体が虚弱か反応するエネルギーがない、親が厳しすぎて怖くて反抗できない、何でも子供の思うとおりに甘やかしすぎるなど、反抗しない原因を考え、それを改善するべきかもしれません。子供が何事にも反対するのは、それによって自分の存在を認めさせ、また自主独立を宣言しているという考え方もあります。子供の意思に反して、強制的に何かをさせようとしたりせず、上手にほめて、他人に頼らないように励ましてあげることで、親子とも和やかな気持ちでいられますし、子供は自立していきますので、最終的に親は子供にかかる手間が少なくなり楽です。
3、子どものこだわり
2歳頃になると歩いたり、走ったり、言葉を理解したり、さまざまな動作が可能となります。行動の幅が広がると同時に、行動が自分で出来るようになることに喜びを感じるようになります。色々な事への兆戦が行われます。また、この頃には自分がやりたいことは何でもしようとしますし、そのやり方にしてもその子その子の独特のやり方がある場合があります。物の置いている位置にこだわり、他人が動かすと叫んだり、わめき散らす。服の着る順番やボタンのかける順番でこだわり、他人が手伝ったりすると「自分で、自分で」と怒る。手伝ったり、順番が違うと時には最初からやり直すことすらあります。朝などでは大人は急いでいるのにこれをされると、こういった時期だとわかっていても、理性と感情は別で、我が子ながら腹が立ってきます。
小児科の診察でも、この年齢になると服を自分で上に上げて診察しやすくしてくれる子供がいます。これを親や看護婦が手伝うとすごく怒ります。それはその子にとっては非常に重要なことなのだと思います。自己というのが強く出始め、色々とこだわりだします。これも親のいう「反抗期」です。ただ、子供は反抗しているのではなく、急いでいるとか子供を楽にしてあげようとする大人の都合や考えを理解できていないだけです。周囲のことを考慮出来るようになるにはあと数年が必要で、この時期では幼すぎて不可能です。当然、この時期は自己中心的で自分が世界の中心です。大人の思うようにはいかない時期に入ったと諦めて下さい。
他人のことや、その後の結果などはまったく眼中にはなく、大人の手に負えなくて、大人が我慢できなくなる。「かん虫」が出たといわれます。大人と子供の考え方や行動の仕方のギャップに大人が耐え切れないのです。「かん虫」の子供の背景を考えてあげて下さい。親に依存していた状態から、自己が育ってきて、子供が自立するようになる過程です。他人の言いなりになる子供よりは自分を表現できる子供のほうが頼もしくはありませんか。わがままな自己は困りますが、うまく自己を育ててあげて下さい。親としては試練ですが、子供や子育てというものを理解して、我慢が必要です。ただ、我慢も限界があります。小児科専門医に相談して下さい。
4、対応
今まで自分では出来なかったことも自分でやってみる。やって自信が出てくる。「もう2歳になったからね」「お兄(姉)ちゃんになったね」「もう、赤ちゃんとちがうからね」こういう自尊心をくすぐるような言葉に弱く、我慢をしてみたり、一生懸命に言われたことをしようと努力します。多少ですが、言い聞かせれば我慢できますし、親からほめられたり、認められることを喜びます。何でも珍しく、聞きたがり、まねしようとします。自分でやってみて失敗をしながら自分で出来たことに自信を深め、自立心が育ちます。子供も自己中心的な言動が周囲に受け入れられないことを感じたり、大人の期待に応えようと頑張ったりして、とまどいやストレスを感じています。子供を抱きしめてあげて下さい。子供は親や周囲の愛情の中で元気に育ちます。
危険な場合やされては困ることなど、どうしても親として譲れないことや抑えねばならないことには妥協をしない。ダメなものはダメというけじめは必要です。ただ、子供の話を聞いてあげて下さい。「なぜ、したの」「なぜ、したいの」の親の問いかけに子供は子供なりに説明してくれます。それに対して親の考えを説明してあげて下さい。しかし、この年齢の子供には大人の理屈は通用しませんし、言って聞かすなどはまだ無理です。甘やかしと違うけじめを考えて下さい。親を困らせると親が振り向いてくれる、親がかまってくれる、来てくれるなど、子供としては親の注目と愛情がほしい、甘えたいという表現である可能性も考慮してあげて下さい。また、「静かにしていなければならない」「座って待っていなければならない」「走ってはいけない」などは大人の決まりごとや倫理であり、子供は自分の感性で行動するのが個性です。困ったときは子供をおもいきり抱きしめてあげて下さい。ダメなことはダメでも、少しだけダメな範囲を緩めてあげて下さい。外見にとらわれる必要はありません。個性を大事に伸ばし、感性豊かな伸び伸とした、自分で考え、決定できる子供を育てて下さい。
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