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子供の貧血
貧血は赤血球やヘモグロビン(赤血球に含まれる鉄を含むたんぱく質で、肺から血中に取り込んだ酸素を体内に運搬する働きがあります。鉄が不足してヘモグロビンの合成が少なくなると体の細胞に供給される酸素が不足して症状がでます。)濃度が少なくなくなった状態と定義されています。
貧血は赤血球の大きさで小球性貧血、大球性貧血、正球性貧血に分類され、小球性貧血は鉄分の不足やサラセミヤ(遺伝的な貧血の1つで、重症な型でなければ治療する必要はない)、大球性貧血はビタミンB12や葉酸の不足、正球性貧血は血液の病気などが考えられますが、ほとんどは鉄欠乏による小球性貧血ですので鉄欠乏性貧血について述べます。
生まれる時にお母さんからもらった鉄分は限りがありますし、その後の急激な成長で、生後7か月には血中ヘモグロビン濃度が少なくなってきますが、この頃から離乳食が開始され、鉄分が離乳食から供給されるようになり、自然に改善します。乳幼児期では、牛乳及び乳製品の多量摂取による鉄欠乏性貧血があります。牛乳は栄養的には良好な食品ですが、牛乳には鉄分が少ししか含まれていませんし、含まれている鉄分の吸収も不良です。牛乳が好きで、たくさん飲んでいるから他の食べ物をあまり取らなくても、栄養が足りているという考えは危険です。食事量が少なく、一日1リットル程度の牛乳を飲用する子の鉄欠乏性貧血を牛乳貧血と呼んでいます。思春期では成長が急激になりますし、女子では月経出血も出てきますし、やせ願望による無理なダイエットで鉄欠乏に陥ることがあります。また、ストレスの多い時期でもあり、胃潰傷や十二指腸損蕩による慢性出血も見受けます。いずれにせよこれらの貧血は軽症で、症状もほとんどありませんが、長期間続くと体の発育に影響します。
原因
新生児期:出生時の出血や血液型不適合による溶血で貧血になります。溶血の場合は、黄疸が強くなります。
乳児期:生後6か月くらいまではお母さんからもらった鉄のストックがありますし、母乳は鉄分が少ないのですが、鉄の吸収率が良好(母乳は50%、牛乳では3〜15%)です。育児用ミルクも鉄の吸収率が母乳に比べ悪いのですが、その分だけ鉄を多く含んでいるため、この頃までは鉄欠乏はほとんどありません。お母さんからもらって貯蔵していた鉄も生後7か月以降には減少して行きます。このあとは、食物から鉄分をとらなければなりませんが、牛乳、米には鉄分が少なく、離乳食が遅れたり、鉄分が少ない食事をとっていると貧血症状があらわれます。特に生後9カ月から2歳ごろに起こりやすいといわれています。
幼児・学童:鉄分やたんぱく質摂取の少ない子に貧血がみられます。また、思春期前後の女子には無理なダイエットによる鉄分不足のひどい貧血が起こることがあります。
症状
顔色が青白く、目の結膜や口の粘膜、爪などの色も白っぽくなります。乳幼児では、きげんがわるく食欲がない、元気に遊ばずゴロゴロしている、体重がふえないなどの症状があらわれます。年長児では、疲れやすく、軽い運動でも動悸や息切れがし、めまいがしたりします。
乳幼児では鉄欠乏性貧血が3か月以上続くと精神や運動の発達は遅れる可能性が指摘されています。偏食はなるべくしないようにして下さい。
治療
鉄は肉や魚の赤身に含まれるヘム鉄と穀物や野菜などに含まれる非ヘム鉄に分類され、腸管からの鉄の吸収率はヘム鉄が15〜20%、非ヘム鉄では2〜5%と吸収率はよくありません。ただ、ヘム鉄は非ヘム鉄の吸収を促進しますし、ビタミンCも非ヘム鉄の吸収を促進します。食事には肉や魚と一緒に野菜や果物を摂取することが望まれます。逆に、お茶や紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を悪くしますので食事時にはほどほどにする必要があります。これらのバランスの取れた食事が鉄欠乏性貧血を予防しますし、治療にもなります。
食事療法で改善しない場合や強度の鉄欠乏性貧血と診断された場合には鉄剤を服用します。鉄剤をのみはじめて1〜2カ月で貧血はよくなりますが、その後も1〜2カ月はのみ続けて、鉄分の貯蔵も増やします。鉄剤服用とともにレバーや肉、卵、大豆、濃緑色野菜などの鉄分が多い食物やたんぱく質、ビタミンCやB12を十分とるようにすることも大切です。
鉄欠乏性貧血以外や、鉄剤を飲んでも改善しない場合は、くわしい検査が必要になります。
食事では起こりませんが、鉄剤を飲み過ぎて鉄を過剰摂取すると、頭痛、食欲不振、肝機能障害、性ホルモンの異常、皮膚の黒ずみなどの副反応が生じますので鉄剤を服用するときには注意が必要です。
問題点
1、過度な運動によるスポーツ貧血
思春期貧血の原因の1つとして、スポーツ貧血が問題視されています。走ったりジャンプしたりすることによる足底血管内の赤血球破壊が原因です。また、発汗などで鉄分が失われることも多く、ふつうの人以上に鉄分を摂取する必要があります。過度の運動をすると、胃や十二指腸から出血することもあります。このような形で知らず知らずのうちに鉄分が失われていきます。さらに、運動したあとにスポーツドリンクを飲み過ぎると一種の水中毒の状態になったり、満腹感のため食欲がなくなり、低栄養になることがあります。
2、牛乳の飲み過ぎも貧血になります。牛乳が鉄吸収を妨げる可能性もあります
最近は子どもの骨の発育やカルシウム不足からくる骨粗鬆症の予防にと、牛乳摂取がさかんに奨励されていますが、牛乳中には鉄は少ししか含まれていませんし、牛乳中に多量に含まれるカルシウムとリンが鉄と結合して腸からの鉄の吸収抑えます。つまり、牛乳を飲み過ぎると鉄の吸収が妨げられてしまいます。鉄剤を牛乳と一緒に飲まないなどの注意が必要です。スポーツドリンクと同様に牛乳を飲みすぎて、満腹感のため他のものを食べなくて低栄養になることも問題です。
生後12か月までの子に牛乳を与えると腸から微量の出血が生じ、貧血が起こりやすくなるといわれています。生後12か月まではなるべく牛乳を与えないようにして下さい。
3、貧血の主な原因は偏食です。
貧血を予防するためには家庭の食事がバランスの良い食事であり、それをきちんと食べていることが重要です。鉄分の吸収率は平均して約10%と低いため、1日の必要量1〜2mgを確保するためにかなりの量を摂取しなければなりません。偏食が原因の場合は薬で治療してもすぐ再発します。
貧血を起こすと、酸素供給不足による影響が全身に生じます。だるさや疲れやすさのほか、脳の働きにも影響します。(大人では集中力の低下や物忘れが、子供では落ちつきのなさ、注意力の欠如などが指摘されています)また、心臓は酸素不足を補うために健康時の数倍もの血液を送り出さなければならず、重い負担がかかります。頻脈や息切れなどの症状が出るのもこのためです。
厚生省の栄養所要量では、1日あたり成人男性は1日10mg、女性は12mgの鉄分が必要と定められています。女性は月経で血液を失う分、多くの鉄分を必要とします。鉄分は肉や魚、海藻、大豆製品などに多いのですが、野菜にはあまり含まれていません。たとえば、サラダによく使われるレタスは100g中に鉄が0.3mgしか含まれておらず、レタスまるごと1つ食べても、摂取できる鉄分はたったの1.5mgしかありません。小学生の女児の頃から若い女性はダイエットブームですが、ダイエットによいからと、生野菜サラダばかり食べていては、鉄分はほとんど摂れません。バランスの良い食事が重要です。
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