| 子どもの癖
子どもの癖には色々ありますが、問題となるものに、指しゃぶり、爪噛み、チックなどがあります。親としては気になりますが、幼児期では「まずは放置」が原則です。
1、指しゃぶり
赤ちゃんには乳首が唇に触れると吸い付くという本能があります。この本能による行動をうまく子育てに利用しようとする道具が「おしゃぶり」です。何か吸っていると安心するのかもしれません。世界中におしゃぶりは昔からあります。指を吸うのはおしゃぶりの代わりです。おしゃぶりは本能に基づくもので、子どもをあやす知恵です。子どもの心の安定は良いことですので無理に止めなければならないことではないと思います。
腕を自由に動かせるようになる生後2、3か月から指しゃぶりが始まり、生後6か月ごろには良く指をしゃぶるようになります。1歳代の子どもでは約半数、6歳で約10%と年齢と共に減少してゆきます。幼児期になって行動範囲が広くなり、興味を引かれることが多くなり、また手を使う機会が多くなれば指しゃぶりは減少してゆきます。無理に止めても止まりません。手指の使う遊びをする。自制力をつけさせる。寝るときに指をしゃぶる子が多いのですが、この場合は一緒に寝て手を握ってあげるなどで対応して下さい。
原因としては子どもの情緒の問題として不安、不満に基づく欲求不満という考え方と、乳児期の生理的な指しゃぶりが学習され習慣となり単なる癖として残っているという考え方があります。
3歳頃までの指しゃぶりでは乳歯の咬み合わせが多少悪くなっても永久歯は正常ですが、4歳以上になると顎の骨格にも影響を及ぼし、永久歯に咬み合わせの不整をおこさせる可能性が出てきます。しかし、指しゃぶりは絶対止めなければならない癖ではありません。特に、年齢が大きな子の場合は不安や緊張を解消する精神的な自己防衛の1つかもしれないということへの考慮も必要です。ただ、5歳以上になると自然に止まる可能性は少なくなります。年齢が大きくなっても減少傾向が見られなければ、歯科のチェックを受けさせて下さい。指しゃぶりによる悪影響があれば本人にそれを理解してもらい、自分で減らす努力をしてもらって下さい。
色とりどりで、ファッション性の強い「おしゃぶり」がヒモ付きで売られるようになり、使用している子どもを見かける機会が多くなりました。赤ちゃんは吸うという本能による欲求が満たされるために静かになりますし、指しゃぶりよりも止めやすい、歯並びにも影響が少ないという点で多用されているのではと推測されますが、言葉を話す機会が少なくなるなどマイナスの面も否定できません。道具をうまく使って無理のない、楽しい子育てをすることは良いことですが、年齢が大きくなるにつれ、歯並びにも影響する可能性はありますので、歯科的に影響が出ている場合は止めさせる努力が必要です。
2、爪噛み
爪を切る必要のない程の深爪が特徴です。精神的な不安や緊張を解消する手段の1つとして行うことが多いと言われています。1歳では1%、6歳で約10%、学童期は20〜30%の子が爪を噛んでいるといわれます。子どもが不安に思っていることはないか、窮屈に思っていることはないか考えてあげて下さい。
軽度の場合はとめる必要はありませんが、深爪で、指先に傷が出来るほどのものは困ります。子どもと爪噛みによる指への影響について話をする必要があります。特に、学童期になると爪噛みは固定化しますので、本人が理解して、自発的になくそうとしない限り止りません。
3、チック
頻回にまばたきをする、肩をピクピクさせるなど、意味のない動作が無意識に繰り返し出現する症状をいいます。咳払いを繰り返す、「ウッ」「チェ」などの言葉が出る音声チックもあります。7〜11歳頃に多く、男児に多いとされています。チックを経験している子どもは10〜20%とされ、生まれつき生じやすい子が、不安や緊張、欲求不満など心理的ストレスが引き金となり出現する可能性が指摘されています。自分の意志で短時間は止めることは可能ですが、長時間を止めさせる絶対的な方法はありません。無意識でやっており、緊張でよけいに出現しますので、無理にチックを指摘して止めさせようとすると、意識がそちらのほうに向き余計に起こるという悪循環に陥る可能性もあります。カウンセリングや薬物療法もありますが、干渉しなければ自然に治ることも多く、あせらず、子どもの気分を発散させて緊張感を取り除くことを心がけて下さい。
かつては対人関係や親子関係における心理的葛藤が問題視されて、心理療法や精神療法が治療として行われていました。しかし、重症のチックを発症する家系(トゥーレット症候群:運動性のチックと音声のチックの両方が現れる遺伝的な疾患で、症状は強くなったり、弱くなったりして1年以上続きます。症状には強弱がありますが、症状が重い場合は生活に支障をきたします。)があることが知られるようになり、最近ではチックの原因として、脳の遺伝的な機能的障害が疑われています。神経伝達物質の過活動によって、運動や知覚機能への働きかけがうまくいかなくなり、症状が出るという考えです。チックの出やすさは生まれつきの脳の仕組みによって決まっている可能性があります。ただ、チックは心理状態に影響を受け、本人が止めようとするとよけいに増強したり、精神的な緊張でも増強します。生まれつき持っている要素に脳の緊張がプラスされチックが出現する可能性がありますので、身の回りの取り除けるストレスは取り除き、チックを出にくくすることは大切です。
チックの種類は運動性チックと音声チックに分けられます。
1)運動性チック
顔面のチックはまばたきが最も多く、口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動き、頸部では頭をねじる、前屈や後屈、1回転させるなど、肩はピクッとさせたり、すぼめる、手足ではピクッとさせる、くねらせる、手を振る、蹴る、スキップなどです。
2)音声チック
音声チックでは咳払いがもっとも多く、ブツブツ言う、鼻を鳴らす、うなる、意味不明な言葉、同じ音や言葉を繰り返す、叫び声、汚言(バカ、死ねなど)などがみられます。運動性チックよりも周囲の注目を集めてしまい、外出がしにくくなることが問題になります。
3)経過および注意点
チックは何もしなくても、多くの場合1年以内には消失します。長く続く場合でも多くは思春期後半までに消失するか、残っても軽い動きの目立たない軽度の動きのチックにまで症状が落ち着くようになります。また、たとえ残ったとしても、大人のチックは家以外や、仕事のときなどには消えることが多いといわれっています。チックは止めようとすると緊張してかえって増強することが多いので、無理に止めないことが大切です。また、学校や家庭での明らかな心理的ストレスや不安があれば取り除き、本人を取り巻く環境に対する配慮も必要です。叱らない、注意しない、話題にしないが大切です。
チックは本人、家族および周囲の人にその症状を理解してもらい、チックを気にせず、日常生活が円滑に行えるようにすることが大切です。一般的には薬での治療の対象とはなりませんが、学校や家庭での日常生活が障害される場合には薬物療法が行われます。
4、頭をぶつけ続ける
頭を壁や床にぶつけ続ける乳幼児がいます。欲求を上手に言葉で表現できないための代わりの表現と考えられています。欲求が満たされないと起こすことが多いといわれています。怪我をすることはまずありませんが、怪我をするような状況は避けるようにして下さい。抱きしめてあげる。気持ちを他のものに向けさせるなど考えて下さい。だからといって、甘やかしてしまうのは困ります。ダメときはダメというけじめが必要です。別に気持ちのはけ口を作ってあげて下さい。
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