少女から女性へ ―第二次性徴と初経(初潮)−

 小学生の高学年の頃になると女の子から女性らしい体になり始め、月経が始まります。この変化は、あらかじめ脳の中にプログラムされた性腺を刺激するホルモンの増加で生じます。この性腺刺激ホルモンが働いて卵巣から女性ホルモンの分泌がはじまり、まず7歳ごろから乳房が、9歳ごろから陰毛が徐々に発育し、身長も急に伸びだします。10歳から15歳頃に初経(最初の生理)を迎え、初経後13年で身長の増加が止まります。初経の発来は性腺ホルモンと卵巣の周期性変化が始まったことを意味しますが、成人女性のような排卵を伴った規則正しい月経となるのは、初経出現後からさらに数年を要します。初経の頃の月経は無排卵性月経(卵子が排卵されていない)や不正出血であることが多いとされています。これは初経を迎えたころの卵巣の働きはまだ発達途上にあり、遅い人では25歳くらいにならないと卵巣発育が終了しないためとされています。
 この頃は女性ホルモンの分泌が急激に変化しますが、不安定で個人差が大きいのがこの時期の特徴です。このため、精神や身体が大きく変化しますが、きわめて不安定で変化の程度も個人差が大きくなります。

1、思春期発来時期の異常

1)思春期早発症:乳房発育が7歳未満、陰毛発生が9歳未満、初経発来が10歳未満に出現する場合に診断します。

2)思春期遅発症:乳房発育が11歳、陰毛発生が13歳、初経が14歳を超えても見られない場合に診断します。

これらは特に原因となる病気がなく生じることがほとんどですが、先天性の異常や腫瘍、ほかの病気の一症状である場合が稀ですがあります。また、最終身長に影響することもありますので小児科専門医か婦人科を受診して下さい。

2、月経異常

初経後3年経っても、例えば28日周期のように一定の日にちで月経が整順に来る人は65%で、5年後でも70%程度といわれています。若い女性の場合には月経周期の異常は必ずしも異常とはいえません。治療が必要なものも稀にはありますが、ほとんどは性成熟を待つしかありません。医療機関への受診が必要と考えられるのは

1)無月経

 @無月経の期間が8か月以上続く、A心因性や強い体重減少など無月経となる明らかな誘因があり、その原因に対する検査や治療が必要と考えられる場合、B初経後3年以上経過している場合で(初経後すぐの月経は不規則)、月経が3か月以上来ない場合(妊娠の可能性や女性ホルモンの分泌が少ない可能性)には受診が必要です。
 長期間の無月経はその後の卵巣機能にも影響を及ぼします。無月経が長期間続く場合は婦人科を受診して下さい。

2)思春期出血

 思春期少女にみられる子宮出血で病的でないものでも@
出血量が多い、A月経期間が長い、Bあるいは出血が頻回である場合に診断します。このような症状では受診が必要です。
 多くは思春期特有のホルモンのバランス異常に基づくもので、出血も重症の貧血になるほどのことはありません。全身の出血傾向の一症状であったり腫瘍が関係していたりすることもありますが稀です。出血期間が長い場合には貧血のチェックが必要です。

3)月経困難症

 月経時に鎮痛剤が必要であったり、学校を休まなくてはいけない程の症状が強い月経をいいます。

 多くは月経血の排出時におこる子宮の痙攣様収縮が原因ですが、ときに子宮内膜症や骨盤内感染、卵巣腫瘍が原因の場合もあります。

3、スポーツと月経異常

 最近ではスポーツの開始年齢が若年化してきており、小児期からのハードトレーニングや大会への参加といった身体的心理的ストレス、摂取カロリーの減少、体脂肪の減少による初経の発来遅延、一旦は出現していた月経の消失、疲労骨折(月経異常による女性ホルモンの低下が原因)が問題となってきています。初経発来前からのハードトレーニングは初経の発来を遅延させます。特に選手年齢の低年齢化の激しい体操や新体操、マラソンに問題が集積してきています。一般にスポーツは骨量を増加させますが、体脂肪の減少や月経異常、女性ホルモンの低下を来す程の過激なトレーニングでは骨量は逆に減少し、疲労骨折がおきますので、スポーツをする場合には思春期少女の二次性徴の発達やその持続にも注意が必要です。