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嘔吐下痢症
下痢は上下水道の整備やごみの集配などの生活環境や子どもの食事や栄養の改善の結果、下痢の発症が減少し、発症しても軽症で治ることが多くなりました。ただ、冬に流行するウイルス性の嘔吐下痢症は嘔吐物が感染源になるために流行しやすく、乳幼児では脱水を伴いやすいという特徴がありますので要注意の疾患です。
1、原因
ロタウイルスやノロウイルス、腸管アデノウイルスが主な原因です。ロタウイルスやノロウイルスは毎年冬季に流行し、腸管アデノウイルスは年間を通じて発症します。各々にはタイプが多くあり、毎年かかりますし、一冬に2回以上かかることもあります。
患者の吐物や下痢便中にウイルスがあります。嘔吐下痢の感染経路はこれらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。これらを触って感染しますので、触った後は手洗いを十分する必要があります。また、ノロウイルスは河口で育つ2枚貝(主にカキ)の中に濃縮されるという性質がありますので、2枚貝(生カキ)を生または半生で食べたり、生の貝を触った手で生野菜などを調理することで感染させるという食中毒という形での発症もあります。
2、症状
症状は病名が示すように頻回の嘔吐と下痢です。ロタウイルスは乳幼児、特に6か月〜2歳に多くみられ、成人での発症は少ないのですが、ノロウイルスは全年齢に認められます。腸管アデノウイルスでは乳幼児が多く認められます。潜伏期間はノロウイルスで1〜2日、ロタウイルスで1〜3日です。腸管アデノウイルスは2〜3日です。発熱する子は多くありませんが、微熱が1日程度認められることもあります。嘔吐はロタウイルスでは頻回ですが、ノロウイルスでは数回程度で軽いことが多く、共に半日から丸1日で治まります。腸管アデノウイルスも嘔吐症状は軽度で、嘔吐が出現しない場合も多いとされています。
下痢はノロウイルスでは2〜3日、ロタウイルスや腸管アデノウイルスでは4〜5日間続きます。淡黄色の便になることが多いのですが、特にロタウイルスでは、胆汁の排泄が不良となりやすいため、白っぽいクリーム色の水様便が特徴です。腸管アデノウイルスによる症状は軽症のことが多く、ノロウイルスよりもロタウイルスのほうが症状が強く出る傾向があります。
感染しても発症しない場合や、軽度の腹痛や軟便程度の症状で終わることもあります。
3、治療
下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に下痢を止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。嘔吐に対しては、脱水症の予防と周囲への感染拡大防止を目的に嘔吐を抑える薬を使用することもあります。
嘔吐や下痢がひどく、口の中が渇いてきたり、ぐったりするなど脱水が疑われる場合には点滴による水分補給が必要です。
頻回の下痢ではオムツかぶれにすぐになります。お尻を出来るだけ頻回に洗って乾かして下さい。ひどくなる場合は洗った後で軟膏を使用して下さい。
嘔吐下痢症が長く続くと電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われ、糖分も不足しますので、お茶や水のみの補給では体調異常が生じます。お茶、お水以外にもイオン飲料水を含めた水分補給をして下さい。
4、食事の与え方
初期の嘔吐や嘔気のある間だけは食事を止め(食べても吐いてしまいます)、ごく少量(コップ1/4〜1/3程度の嘔吐しない量)のイオン飲料水やお茶を頻回に与えて下さい。その後徐々に1回量を増やしていくようにします。胃が膨れるほど飲むと嘔吐します。少量の水分が胃から徐々に吸収されるのを待ちます。イオン飲料水が十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。
下痢が続きますので、牛乳や乳糖を多く含むお菓子などは止め、ジュースなども中止し、お茶、湯冷まし、乳児用(年齢に応じた)イオン飲料水を飲ませて下さい。下痢で腸の粘膜が傷害されると、乳糖(牛乳などに含まれる糖)などの吸収が悪くなり、乳糖や糖分の高い濃度の飲み物や食べ物は下痢の回復を悪くします。離乳食や食事は消化が良くない食物以外は欲しがるだけ与えることを心がけて下さい。食事をすることは腸の回復を助けます。
5、予防
感染者の嘔吐物や下痢便の中にウイルスが存在します。この病気では嘔気は急激に来るため至る所で嘔吐します。特に嘔吐の場合は嘔吐物が周囲に飛び散りますので、それに伴いウイルスも飛び散ります。また、嘔吐物が乾燥するとウイルスは空気中に漂いますので、その空気中のウイルスを吸い込んで発症する空気感染も可能性があります。便中には感染後1週間程度の期間はウイルスが存在すると言われます。嘔吐物や便に触った後は石鹸を使って流水で手洗いを丁寧にしてください(水道の蛇口から出る水で洗えば手に付着したウイルスは減少しますので感染する可能性は激減します)。嘔吐物が周囲への伝染の原因となりやすいですので、なるべく嘔吐させないような工夫が重要です。
ウイルスは塩素と熱により消失します。塩素系の消毒薬や漂白剤(ミルトン、キッチンハイターなど)、85℃で1分間以上が有効とされています(65℃程度では30分でも効果はありません)。アルコールなどは有効性がほとんどありません。手にすり込むタイプの消毒剤や消毒薬のついた紙で拭くのではほとんど効果がありません。嘔吐があったためにウイルスが空気中に飛び散っているような場合にはうがいも有用です。
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