外遊び(紫外線、熱中症対策)

 子どもが外で遊ぶと交通事故などの危険以外にも、夏は熱中症に代表される暑熱障害、強い紫外線による日焼けなどの皮膚への影響など心配がたくさんあります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、成人に持ち越される小児のメタボリック症候群の予防に重要な役割を担っています。また、悪い点は予防が可能なことも多いので、危険防止を心がけ、良い点と悪い点を考えながら楽しい外遊びをさせてあげて下さい。

1、悪い点

 紫外線による皮膚への影響と暑熱障害に注意が必要です。

1)紫外線による影響

紫外線には、中波長の紫外線(UVB)と長波長(UVA)があります。UVBはエネルギーが強く、肌表面の細胞を傷つけ、炎症を起こし日焼けを作ります。また、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。一方、UVAは皮膚の深い部分の真皮まで到達し、長期間皮膚に作用すると真皮の中のコラーゲンが減って異常な弾力線維がたくさん作られ、日光性弾力線維症を引き起こします。屋外で働いている人では、年をとると顔などに深いしわができますが、これは本来の老化現象ではなく、紫外線で起きる光老化です。一番紫外線が強い時期は4月から9までで、1日のうちでは午前9時から午後3ごろまでとされています。
 紫外線で
傷害されたDNAは修復酵素で自動的に修復されますが、傷害が多ければ一部に異常が残ってしまう可能性があります。皮膚にあるメラノサイトという細胞は紫外線をブロックするメラニン色素を作り、紫外線の悪影響を防止しますが、メラニン色素が少ない白人では影響を受けやすく、皮膚がんになりやすいとされています。また、病気でメラニン色素がない人も、若い年齢で皮膚がんになってしまいます。メラニン色素が少ないイギリスのケルト系の人たちがオーストラリアに移住して強い日差しを浴びた結果30代で前がん状態である日光性角化症になる人が出現し、さらに何年かすると扁平上皮がんになりやすいことが、最近分かってきました。オーストラリアは南極に近く、オゾンホールの影響をまともに受ける地域であり、住民は白人が多いという2点から、オーストラリアでは外出する時は長袖シャツを着て、帽子をかぶり、さらにサンスクリーン剤をからだの露出部に塗って、できるだけ太陽の紫外線を浴びないよう子どもを指導しているようです。
 幸い、
日本の国はオゾンホールからは遠く、また日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を作る力は強く、自分でメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくします。外で遊ぶときに、日本の子どもたちには極端な紫外線対策は不要とは思いますが、紫外線が強い夏期では帽子や衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で紫外線防御をして戸外の活動をするように指導するべきかもしれません。日本人でも色白で、日焼けで皮膚が赤くなり黒くなりにくい子はメラニン色素を作る力は弱く注意が必要です。紫外線には日焼け、色素沈着、老化、皮膚がんなどのマイナス面があります。かつて、くる病予防として、ビタミンDを体内(皮膚)で合成するために日光浴をするよう指導されましたが、現在の日本人は食事でビタミンDを十分に摂取しており、わざわざ長時間の日光浴をする必要はありません。
 また、
急な日焼けではメラニン色素が作られずに紫外線の影響を受けますので、日本人といえども重症の日焼け(火傷)になります。徐々に日光に慣らして、皮膚のメラニンを増やしておく必要はあります。外気浴は生後1か月から行いますが、乳幼児では日焼けしやすいので注意が必要です。乳児の日光浴は日向ぼっこ程度で行うべきで、日焼けするほど行ってはいけません。また、秋から春にかけて行い、真夏には行わないようにして下さい。夏はなるべく皮膚への直射日光を遮るようにして下さい。

2)暑熱障害(熱中症)

生体の適応範囲をこえる高温環境が続くと、水分や電解質の代謝がうまくいかなくなり障害がおこります。暑くなりだした梅雨から真夏にかけて多く、小児は体温調節機能が未熟で、水分をたくさん必要としますので、暑熱障害は子供に起こりやすい病気です。
 大量の発汗によって脱水や電解質の喪失が生じると、抹消の循環が悪くなり、
脱力感、嘔吐、頭痛などがおこります。
 普通のレベルの発汗ではお茶やお水の水分補給で十分ですが、大量の発汗の対応として、電解質の含まない水分の補給ばかりでは、
電解質(ナトリウムとクロール)が少なくなり、運動後に筋肉の痙攣がおこり痛みます。下腿のふくらはぎのこむら返りが一般的です。
 体温が異常に上昇すると、熱自体や熱による循環不全が生じて全身臓器の障害がおこり、痙攣、意識障害などが生じます。
 睡眠不足、運動不足などの体調不良を極力避ける。高温になる環境を避ける。高温下で運動するような場合には
適当な休憩や電解質やカロリーの含まれた水分を十分に摂取させるなどで熱中症は予防できます。
 熱中症になった場合は、塩分やカロリーの含まれた水分を十分摂らして、冷所で安静にさせる。状況によっては衣服を脱がせ、体を冷却することが必要で、重症では緊急入院も要します。

2、良い点

 屋外での遊びは、気候を感じ、怪我をして痛みを知る、体力向上や気力を養う、覚醒と睡眠のリズムを養う、自律神経を発育させるためには大切ですし、友達と一緒に遊ぶために協調性が養われ、またストレス発散の手段としても非常に有用です。外で遊ぶことは小さな動物や植物に触れ、いつくしむ心が形成されます。最近はテレビ、インターネットやゲームといったメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)が問題視され、運動不足と間食の摂りすぎによる肥満、糖尿病などの小児のメタボリック症候群も問題になってきています。小児期の肥満は成人に移行し、成人での糖尿病などの病気を引き起こします。屋外で遊ぶことは運動量が増え、筋肉量が増えますので基礎代謝が亢進し、間食もしなくなり、ゲームやメディア漬けが回避され、本来の子どもの健全な状態になり、肥満も解消されます。
 平日6時間以上メディアに接触している小学生は26%、中学生では24.2%で、休日では15時間近いレベルになるというデータがあります。子どもといえどもメディアを避けて生活することは不可能ですので、うまくメディアに対応するために、
ダラダラと長時間は困りますが、子どもの頃から良質のメディアに親しむことも必要です。ただ、メディアが相手だと対人関係が構築されにくく、年齢的に不適切な情報も入って来ます。ゲームでは自分は痛みを感じませんので、他人の痛みも理解できません。また、長時間のメディア漬けでは親と子が共に過ごす時間が減り、夜更かし、睡眠時間の減少、朝食を食べないなどの問題のほか、コミュニケーション能力の育つ邪魔をするなど問題点が多くあります。子どもの時期は室内に居ると退屈しますので、メディアに興味が行き、メディア漬けとなりますので、出来るだけ外で遊ばしてください。遊びながら怪我をしたり、打撲するといった痛みの経験も子どもの心身の発育には欠かせないことです。何が安全で、何が危険か、自分の出来る範囲はどこまでかなどの判断力がつき、危険を回避する能力がつきます。
 また、栄養状況が良く、ビタミン
Dの食事からの摂取が多くなってもやはり紫外線(UVB)による
皮膚でのビタミンDの合成は子どもの骨の病気であるクル病発症予防には重要です。ガラスを通過した日光はUVBがガラスでカットされるため、短時間でよいのですが室外で日光を浴びることが皮膚でのビタミンD合成に必要です。