予防接種

誰しも病気にかかりたくはありません。まして自分の子供となるとなおさらです。他人にうつしやすい病気もあります。保育園、幼稚園、学校を休まなければなりません。病気にならないためには、@病気の原因となる細菌やウイルスが体内に入らないようにすれば確実に病気を予防できますが、これは子供を部屋に閉じ込めて、他の子供との接触を断ち切る必要があります。これではその子の精神的な発達が歪んでしまい、非現実的です。A第2の方法は抵抗力を前もってつけておいて、入ってきた細菌やウイルスに打ち勝つようにする予防接種(ワクチン)です。予防できる病気が限られていること、感染するかどうかわからない病気を前もって予防する必要があります。B第3の方法は感染、発病後に薬を使用する方法です。しかし、発病すれば重症になる病気や良い治療法のない病気もあります。こういったことから、予防できる病気は予防し、予防できない病気は発病後早期から治療を行うことが一般的と考えます。

1、予防接種の種類

 ウイルスに対するワクチン:麻疹、風疹、日本脳炎、ポリオ、水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、黄熱病など
 細菌に対するワクチン:破傷風、百日咳、ジフテリア、結核、肺炎球菌、コレラ、インフルエンザb菌、髄膜炎、ペスト、腸チフスなど

2、予防接種の効果

 前もって病気に対する抵抗力をつけておくことが出来るので、病気にかからない、または感染しても重症化を防ぐことが出来ます。「予防は治療に優る」ということです。個人の健康被害のみならず病気の流行を阻止し、社会への影響が少なくなり、医療費の抑制にも役立ちます。

1)自己防衛と他人

 病気を予防することは自分にとって非常にプラスですし、感染しませんので当然ですが他人にもうつしません。国によっては幼稚園や小学校入学時にワクチン接種の証明が必要で、規定のワクチンを全て済ましていないと入学を断られます。米国では病気の流行を阻止するため、予防接種を済ましていない子供は小学校に入れてくれません。1人が感染すると他人にうつし流行し、学校の責任問題になります。「他人にうつして迷惑をかけるような子供は入学するべからず」という国です。その国その国によって予防接種にたいする考え方は異なります。わが国はゆるい考え方の国です。

2)親の対応

 家庭でも兄弟姉妹間での感染、親に感染し親が重症になる、母親の妊娠中に子供が風疹にかかったため、妊娠中の子供の先天性風疹症候群について心配をしなければならないなどいろいろあります。子供のときにかかっていない親は子と共に予防接種をしておくのも1つの考え方です。

3、効果の持続

 予防接種の効果は実際に病気にかかって獲得する抵抗力に比較すると弱く、効果の持続性も短くなります。ただ、わが国ではそういった病気は毎年のように流行していますので、ワクチンで一旦抵抗力ができればその菌やウイルスと接触することで再度抵抗力が上昇し、長期間続きますので心配は不要です。

4、予防接種の回数と間隔

 ワクチンの種類には、生きている細菌やウイルス(製造過程で病原性を弱くしています)を接種する生ワクチンと殺している不活化ワクチンなどがあります。一般に生ワクチンは効果が得られやすいので、1回の接種で効果が得られますが、不活化ワクチンなどは効果が出にくいので数回の接種が必要です。3種混合ワクチンなどのように続けて3回同じワクチンをする場合のそれぞれの間隔は3〜4週間あけて接種することになっています。その後、1年後に接種するのはワクチンの抵抗力が何年も続くようにするためで、これがないと抵抗力はすぐに低下します。忘れないように接種してください。
 生ワクチン接種後は4週間をあけて他のワクチンをするとこになっており、それ以外のワクチンでは1週間たてば他のワクチン接種が可能です。

5、スケジュール通りにしなければならない?

 海外へ急に転居するなどの場合、一度に数種類のワクチン接種をすることがありますし、ワクチンの特徴を考えて接種すればスケジュールを多少変更することは可能です。また、保育園や幼稚園へ入園するまでの期間に全てを接種するなども対応できます。ただ、1回目と2回目の間隔が長すぎたり、追加ワクチンが早すぎたりすると効果が弱くなる場合もあります。小児科専門医にご相談下さい。

6、基礎疾患を持つ子供

 基礎疾患を持っている人は可能な限りワクチンを受けて下さい。ワクチン自体にも副反応はありますし、生ワクチンでは軽くかかったような症状が出ることもあります。しかし、実際に病気のかかると、元々持っている病気の上にその病気がプラスされ、大変です。主治医とよく相談して出来るだけのワクチン接種をお勧めします。

7、ワクチン接種を見合わせる場合

 その時点で発熱があったり、機嫌が非常に悪くなるような感染症にかかっている場合は症状が軽快するまで接種を延期します。麻疹や水痘などの後はワクチンの効果が弱くなる可能性があり、1か月ほどの間隔をあけて接種をお勧めします。
 ワクチンの液の成分に強いアレルギーがあるとわかっている人は接種を中止するか専門の小児科病院で相談の上接種して下さい。
 妊婦さんではポリオ、麻疹、風疹、水痘などの生ワクチン接種は避けてください。
 軽度の咳きや鼻水、下痢などでは接種可能です。出来るだけ早い時期に接種して下さい。