子どもとビタミン

ビタミンは「微量で体内の代謝に重要な働きをしているにもかかわらず自分で作ることができない化合物」と定義され、炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外の栄養素で、健康的に生きて行くうえで必要ですが、自分で作ることができないため、食事などで外から補給をしなければいけない物質ということです。現時点では、13種類のビタミンが確認されていて、溶解性の違いにより、脂溶性ビタミン(ADEK)と水溶性ビタミン(B1B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、パントテン酸、ビオチンのB群ビタミンとC、)に分けられています(体内で生成できるビタミンも一部あります)ビタミンが不足すると、細胞の働きが悪くなり、病気になったり、成長に障害が出たりします。欠乏症を予防する目的で1日に摂取するべき量の目安となるビタミンの所要量が定められています。

1、脂溶性ビタミン

ビタミンAは視覚機能に関係する物質で、欠乏とする夜盲症(トリ目)になります。 急に暗い場所に入ったとき、目が暗さに慣れるまでに長く時間がかかるのは、生まれつきのこともありますが、ビタミンA不足の初期症状の可能性があります。その他にも目・気管・皮膚や粘膜の形成・機能にも関係しており、ビタミンAが不足すると、粘膜の抵抗力が減少して結膜炎や風邪にかかりやすくなったり、皮膚が乾燥してカサカサになったりします
 
ビタミンDは、カルシウムの吸収・沈着をコントロールしています。 乳幼児期に不足すると背骨や足の骨が変形したり、頭の骨が薄くなる「くる病」になります。大人で不足すると骨が弱くなり、慢性的に骨や関節が痛くなる骨軟化症になります。とくに妊産婦や高齢者はビタミンD不足におちいりやすいので要注意です。このビタミンは太陽光線に含まれる紫外線が皮膚にあたると皮膚の細胞内で合成されます。散歩をしたり、通園・通学や昼休み時間に外に出るような普通の生活をしている限り日本人ではビタミンDの不足は問題とはなりませんが、日当たりのよくない環境では食事からの摂取が重要となります。ビタミンDは、ウナギ、カツオ、鮭などの魚や天日干しのシイタケなどの食品に多く含まれていますので日本人の平均的な食事では不足することはまずありません。離乳食が制限された母乳栄養児や牛乳や卵を食べないベジタリアンなどでは食事だけではビタミンDの必要量を満たすことは出来ない可能性がありますので顔や手に日照を適当に(10分程度)浴びることは重要です。
 
ビタミンEは末梢血管を拡張し、血液循環をよくする働きがあります。冬、しもやけや冷えに悩まされる人は、ビタミンEの補給が有効なことがあります。最近とくに注目されているのが抗酸化作用です。体内で脂肪が酸化すると老化や動脈硬化を進める有害物質ができますが、ビタミンEを充分とっておけば、これを防ぐことができるといわれています。
 
ビタミンKには止血に重要な働きをしています。ケガなどで出血すると、ビタミンKなどが働きプロトロンビンという物質が出来て血液を固めて血を止めます。ビタミンKが欠乏すると出血しやすくなり、臓器内や皮下に出血が出現します。ただ、腸管内に存在している細菌がビタミンKを十分作っており、人はそれを吸収して利用することが出来ますので、ビタミンK欠乏症は新生児や乳児早期(母乳栄養児に多いとされ、出生時と生後1か月時に補充が行われています)におこる出血以外には、特殊な場合を除き起こりません

2、水溶性ビタミン

ビタミンB1は、糖質が燃えてエネルギーとなるときに不可欠なビタミンです。穀物・砂糖・アルコール類を多くとる人は、B1も多めにとる必要があります。B1 の欠乏症は下肢などの疲労感、知覚異常、神経麻痺、進行すれば心不全などの症状を呈する脚気です。現在の日本では本格的な脚気はきわめてまれですが、スポーツドリンクを多飲する子どもが偏食をしている場合などでは、だるさやむくみなどの潜在的な脚気症状が出ることもありますので注意が必要です。
 
ビタミンB2は成長促進作用がありますので、とくに成長期には充分とる必要があります。また、B2は食欲に関係するほか、口・皮膚・口腔などの粘膜を正常に保つために必要です。B2が不足すると目の異常や口角炎、口内炎などが起ります。
 
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に重要な役割をはたしています。欠乏すると、目・口・耳・鼻の周囲に皮膚炎が起ります。多くの食物中に含まれますし、腸内の細菌も合成しますので、特殊な薬を服用する場合など以外では欠乏症はまれです。その他に、貧血、むくみ、足が麻痺してピンや針で刺されるようなチクチクした感覚が生じる末梢神経炎、乳児では痙攣などが起るといわれています。
 
ビタミンB12はたんぱく質の代謝に関係するほか、血液成分の赤血球を作るときに必要です。 ビタミンB12が欠乏すると赤血球を作るしくみがうまくいかず貧血になり「悪性貧血」と呼ばれます。
 
ビタミンCは細胞と細胞をつなぐコラーゲンというたんぱく質の合成に関与しているため、不足すると血管壁の結合がゆるんで出血します。ビタミンCの欠乏症は歯肉の出血と腫脹、関節の腫れ、体の各部から出血する「壊血病」です。 歯ぐきから出血しやすくなったらビタミンC不足の可能性があります。 この他にもビタミンC には、日焼けや皮膚の色素沈着を防ぐ、鉄の吸収を助ける、免疫のしくみを正常に保つなど、幅広い働きがあります。さらに、ストレスを多く受ける人、タバコをよく吸う人は、ビタミンCの必要量が増えます。

3、ビタミン過剰症

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCを除くビタミンは1日当たりの許容上限摂取量が定められています。水溶性ビタミンは過剰に摂取したとしても、使用されない過剰分は尿の中にすぐに排泄され蓄積しません(たくさん摂取しすぎても効果は同じ)が、脂溶性ビタミンは肝臓をはじめとする体内に蓄積されます。そのため、脂溶性ビタミンを多く摂り過ぎると、過剰摂取による副作用が出てくる危険性があります。ビタミンAを取り過ぎると、頭痛や吐気、皮膚が乾燥してむける、筋力低下、関節痛などの症状が現われることがあります。また、妊娠3か月までに過剰摂取すると胎児に奇形が起きる率が高くなる可能性があると報告されています。ただ、ビタミンAの中でも野菜に多く含まれるカロチン(βカロテン)は体内で必要に応じビタミンAに変わるという性質がありますので、カロチンを多く摂取しても皮膚の色が黄色くなる程度で過剰症はほとんどありませんビタミンDを取り過ぎると食欲不振、吐気、頭痛、ひどくなると臓器にカルシウムが貯まり過ぎたり腎障害をおこします。脂溶性ビタミンでも、ビタミンEKは過剰症の危険性がほとんどないとされています。通常の食生活のなかではビタミン過剰症を心配する必要はありませんが、ビタミン剤、サプリメントなどで多量に摂取するときは過剰症への注意が必要です。バランスのとれた一般的な日本人の食事ではビタミン欠乏症は生じません。ビタミン剤の服用は不要です。子どもにはバランスの良い食事を心がけてあげて下さい。生活習慣病の予防も含め、お袋の味としてその子の一生涯に良い影響を与えると思います