夜尿症(おねしょ)

夜尿(おねしょ)は幼児期では全員が経験していることですが、年齢が大きくなっていくにつれてしなくなってきます。夜尿をしたからといって健康を害することはありませんし、家族以外に迷惑をかけることもありません。ただ、雨の日や梅雨の時期では布団が乾かず困ります。
 4歳、5歳と年齢が上になっていくにつれ親の心配の種になってきます。何歳頃から心配したほうがいいのでしょうか。日本小児保健協会のデータによりますと、夜尿をまだしている子は4歳台で25%もありますし、毎日夜尿をしている子も約3%と100人に3人はおります。夜尿をしている子供は意外と多いのです。あせらずゆっくり見守ってあげてください。
 また、一旦なくなっていた夜尿が妹や弟が生まれたり、学校や家庭でのストレスで再度出現する場合もありますし、スポーツのクラブ活動で水分を多量に摂り、疲れて寝てしまった時などにもする場合があります。怒らず、ストレスの原因を探してあげて下さい。

1、夜間の排尿の自立過程

 年齢とともに膀胱にためられる尿量は多くなっていきます。そして、夜間に作られる尿量も徐々に少なくなっていきます。尿量が減り膀胱が大きくなると当然おしっこの回数が減ることになります。つまり、膀胱容量の増大と睡眠リズムの安定による夜間尿量の減少という年齢に伴う発達により夜尿が徐々に少なくなっていきます。

2、夜尿のタイプ

 一般的に@ぐっしょり型、Aちょっぴり型、B混合型に分けられています。

1)ぐっしょり型

夜間睡眠中の尿の量が多すぎるため夜尿となるタイプです。睡眠中は尿量を減少させる作用のある抗利尿ホルモン(ADH;尿を濃縮して体の水分をコントロールするホルモン)がたくさん分泌されるため、日中に比し尿量が少なくなります。昼夜関係なく眠っていた乳児も、生後6か月頃には主な睡眠は夜間になってきます。5、6歳になるとお昼寝をしなくなり、成人と同じ夜だけ眠る睡眠リズムとなります。このように睡眠レベルが安定するとADHの分泌も多くなり夜間尿量も減少します。このように年齢とともに夜間睡眠中の尿量は減少していくのですが、このリズムが安定していないのがこのタイプです。もう少し年齢が大きくなると自然に自立していきます

2)ちょっぴり型

 膀胱の尿をためられる量が少なくて夜中に十分な蓄尿ができず漏らしてしまうタイプです。膀胱に尿が貯まり、膀胱壁に圧力がかかると尿意を感じ排尿しますが、年齢とともに尿意を感じても意識的にも無意識的にも排尿を抑制する能力を獲得していきます。そして、尿意が抑制できるようになると膀胱の蓄積できる尿量が増大してゆき、夜尿はなくなっていきます。昼間に尿意を抑制して膀胱容量を大きくする訓練が効果的です。

3)混合型

 夜間の尿量も多く、膀胱の容量も少ないタイプです。問題点が2つあり、自立には時間がかかります

2、発達の指標

 昼間の尿回数が減少し、1回に出る尿量が多くなっていく(膀胱容量の増大)、夜尿回数が1夜に数回から1回に減少してくる(夜間の尿量の減少)、夜尿する時刻が寝入りばなから明け方になっていくことで改善していると判断します。

3、季節変動

 夜尿は冬に悪化し夏に改善します。寒冷刺激が膀胱の容量を縮小しますし、抹消血管が収縮して腎の血流を増加しますので尿量を増加します。汗をかく量の違いもあるとおもいます。

4、生活指導

 大きくまとめると@しからず、Aあせらず、B起こさずです。

1)しからず

 無意識に行っているので、しかられても本人はどうしようもないのです。

2)あせらず

 長期戦です。未熟な機能がゆっくり発達してくるのを待つ必要があります。あせってもどうしようもありません。夕方からの水分制限、日中の排尿の抑制訓練、薬物療法などがあります。小児科専門医にご相談下さい。

3)起こさず

 夜尿を防止する方法の1つとして、夜尿のおこりそうな時刻に起こして排尿させるという方法は一見良いように思えますが、こういった習慣によってその時刻になると無意識に排尿するといった習慣がつく可能性があります。また、夜間の膀胱容量も大きくなりません。睡眠リズムを崩しますので、熟睡に影響しますし、ADHの分泌リズムも崩します。睡眠リズムの乱れは他のホルモン分泌などにも影響し、身長を含む身体発育への悪影響も懸念されます。

5、対策

 機能の発達は待つしかないのですが、夜間の尿量の減少や排尿抑制機能を高めることは可能です。

1)水分制限

 飲んだ水分は3、4時間で尿になってしまいます。少なくとも入眠5、6時間前からは水分の制限をしましょう。喘息などで水分制限が困難な場合は主治医と相談してください。夕食は早めに食べ、夕食や夕食後の水分は極力少なくする必要があります。夕食の味噌汁やお吸い物までも制限する場合もあります。水分制限が不十分では色々な対策も薬も効きません

2)塩分制限

 食塩に含まれるナトリウムは水と一緒に尿中に排泄されますので、塩分をたくさん摂ると尿量が増加しますし、のどが渇きますので水分摂取が増えることになります。スナック菓子なども塩分が多いです。夕方からの食事やお菓子では考慮して下さい。将来の成人病予防としても薄味の食事はお勧めです。

3)排尿抑制

 膀胱の尿をためる力が大きければおしっこに行く回数が減り、夜尿も少なくなるはずです。腎臓や尿管に異常がある場合を除いて、昼間に尿意があっても可能な限り我慢して膀胱の大きさを大きくすることが有効です。早め早めにトイレに行かせる親の気持ちは理解できますが、膀胱容量が十分に増大しませんし、尿意がなくても排尿する習慣がつき尿意に対し我慢することが経験的に覚えられないというマイナス面が強すぎます。

4)寒さ対策

 寒い時期に夜尿が増えます。暖房を効かせすぎたり寝巻きを着せすぎることは困りますが、寝具を暖める(敷き毛布を弱く使用するなど)、入浴を遅めにするなど少し工夫をして下さい。

5)薬物療法

 上記の対応を行っても効果が得られない場合や、年齢が大きい場合は平行して薬を使用します。膀胱の容量を増大させる作用のある薬剤や尿量を減らす薬剤が用いられます。
 稀ですが、病気のこともあります。治りにくい場合や年齢にもよりますが昼間のお漏らしを伴う場合などは小児科専門医にご相談下さい。