A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌は、咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、肛門周囲膿瘍、膣炎、関節炎、骨髄炎、髄膜炎、猩紅熱などのほか劇症型溶連菌感染症、膿痂疹、丹毒、リュウマチ熱、急性糸球体腎炎などを発症させ、食中毒もおこします。小児ではリューマチ熱や腎炎を引き起こし、心臓や腎臓に障害を与えますので、溶連菌を確実に診断し、適切に治療することが重要です。小児科専門医の能力が発揮されるところです。

1、 溶連菌について

咽頭炎の細菌性原因菌としては一般的ですが、リュウマチ熱や急性糸球体腎炎などの続発症を起こしうるという点で非常に重要な菌です。また、この菌は100以上の型があるため何度でも感染します

2、 咽頭炎、扁桃炎

健康な子供でも1530%の子どもが咽頭に菌を持っていますがなにも症状は出ません。この菌の存在自体が悪いことではありませんが、時に咽頭に炎症を起こすと咽頭炎、扁桃炎となります。
症状は3歳未満とそれ以上で差があり、3歳未満では咽頭は軽度の発赤程度で特徴的所見はなく、症状も咳や鼻水といった感冒様症状が主です。3歳を越える頃からは咽頭の発赤は強くなり、点状出血斑を伴ったり、扁桃にも白苔が斑状に出現するなど特徴的な所見となります。舌も白苺舌や赤
苺舌といわれ、表面がイチゴみたいにざらざらとなります。皮膚にも細かい紅色の発疹が全身に出ることがあります(しょう紅熱)。

3、 膿痂疹、丹毒

伝染性膿痂疹(とびひ)は黄色ブドウ球菌による皮膚感染症が有名ですが溶連菌による膿痂疹も少ないですが存在し、急性糸球体腎炎を生じますので要注意です。この菌による場合は膿疱や痂皮が厚く堆積する状態が特徴的です。
丹毒は皮膚表層への感染で、かなり広い範囲に赤く腫れ、痛みがあります。

4、 急性糸球体腎炎

咽頭炎や皮膚感染症後13週に血尿、蛋白尿、高血圧が出現します。尿の異常は1年以内に約70%が消失しますが、数か月の入院が必要です。

5、 リュウマチ熱

心臓、関節、神経などがやられます。咽頭炎発症後15週に生じます。再発しやすく、再発する毎に心臓障害が重くなりますので再発防止が重要で抗生剤を長期使用します。

6、 小舞踏病

感染後27か月に発症します。最初は不器用、物を落とす、情緒不安定として出現し、次いで不規則な早い動きが両上肢に出現してきますが、23か月で消失します。

7、治療

 ほとんどの抗生物質が有効です。ただ、少なくとも5日間は服用しなければなりませんし、早期に診断し治療することが重要です。腎炎発症チェックなども必要ですので小児科専門医を受診しましょう。

8、登園、登校について

 適切な抗生剤治療が行われれば24時間以内に伝染力はなくなるため、登園・登校は本人の健康状態により可能です。