舌小帯短縮症

生まれつき舌の裏側の中央にある舌小帯という膜様の「ひだ」が舌の先端近くまで接着していて、舌を自由に前方に出せない状態を舌小帯短縮症といいます。舌小帯短縮の程度が重度な場合では、舌を口唇の外へ突き出すことが困難であったり、舌の先端がつれてハート型になったりします。乳児の1〜3%くらいに見られ、男児に多いとされています。
 舌小帯短縮症があると、おっぱいを上手に飲めなかったり、言葉が舌足らずででラ行の発音がうまく出せなかったり、英語の発音がうまく出せなかったりすることがある、などと言われる場合があります。しかし、実際にこのような
トラブルが起こるのは稀で、一般に舌小帯短縮症があっても手術の必要のある症例は極めて稀です。以前は母乳がうまくのめなくなるかもしれないという理由で、乳児期に舌小帯を切離することもありましたが、現在では、そのような処置をすることはほとんどありません。日本小児科学会の調査では舌小帯短縮症であっても、哺乳障害や呼吸障害の原因となることはほとんどなく、したがって手術の適応となる症例は少なく、手術の対象となる症例の大部分は構音障害の改善が目的であると報告しています。
  舌小帯短縮症は乳児期の摂食嚥下で問題となるよりも、
幼児期の構音障害の原因として問題になることがあります。「サ」行音、「タ」行音、「ラ」行音などが歯間音になったり、歪み音になったりすることがあります。特に「ラ」行音が影響を受けやすいとされています。例えば「りんご」が「いんご」、「ラッパ」が「ダッパ」のように置き換わる場合があるといわれています。「ラ」行音の習得は通常は5〜7歳と言われており、その時期を待って必要なら手術をすることが多くなっています。

治療

軽度のものは治療の必要がありません。舌が発育して幅や長さが増すにつれ舌小帯は退縮して細くなり、伸びてきて4、5歳頃には外見上もわからなくなります。ただ、舌の先から5mm以内にまで付着しているような極端に短い場合には、舌小帯が将来伸びても、次第に太くなって来ますし、哺乳し難くいし、発音が舌足らずになるので、乳児期に切った方が良い場合もあるとされていますが非常に稀です。
 構音障害による手術適応は45歳くらいになっても舌が上あごにつけられなかったり、舌の先が歯のはえる部分を越えて前方に伸ばせない場合に考慮します。

上唇小帯

上唇小帯とは、上くちびると歯茎をつないでいる「すじ」をいいます。上の歯茎の中央で、左右の切歯(前歯)の真ん中にある帯状の肉です。2歳未満ではこの小帯が太く、歯ぐきの頂上から上の前歯の間に割り込むようにまわりこんでいる場合が一般的です。上顎の発達につれて萎縮していきます。1歳6か月児健診などで指摘されることがありますが、よほど極端なものでなければ乳幼児期に切除する必要はありません。
 上唇小帯が特に太く肥厚していると歯の萌出の遅れや位置異常、噛み合わせの不正の原因になることがあります。また、上顎の左右の前歯の間が広く開いてしまう(正中離開)という美容的な問題も生じます。これらの場合には手術の適応となりますが、
特に支障が無ければ永久歯が生え変わるまで経過観察になります。