2020年 12月27日 放送
インフルエンザ


 咳などを介して伝播、流行し、高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが毎年流行し、ウイルスは大小様々な変化を常におこしていますので、一冬で2、3回発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、2〜7日間続きます。高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)などによる異常行動が生じやすくなります。けがをしないように注意して下さい。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もありますので、病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。
 脳症は乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気ですが、解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は発症2日までの使用で症状を軽くしますが、使用しなくても5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると脳細胞から化学物質が過剰に放出されるため、神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。





2020年 11月22日 放送
ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)


冬に大流行して頻回の嘔吐と下痢を伴います。潜伏期間は1〜3日で、嘔吐は1日程度で治まります。下痢は淡黄色や白っぽいクリーム色の水様便になることが多く、4〜5日間続きます。現在流行中の嘔吐下痢症は軽症で、下痢を伴わない子もいます。
 ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、パレコウイルスなどのウイルスが原因です。それぞれタイプが多数あり、毎年かかりますし、一冬に数回かかることもあります。これらのウイルスに効果のある薬はありません。
 患者の吐物や下痢便中にウイルスがあり、これらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。吐物や便を触った後は石鹸を使い水道水で手洗いを十分して下さい。消毒用アルコールは効果が不十分で、ミルトンやキッチンハイターなどの塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上の加熱、紫外線(太陽光)がこのウイルスの消毒に有効とされています。乾燥するとウイルスが空中に広がりますので、吐物や便を濡らした新聞紙などで直ぐに覆い、きれいに拭き取って下さい。
 嘔気のある間だけは食事を止め、20〜30mlのイオン飲料水やお茶を与えて下さい。その後徐々に1回量を増やし、十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。食事は腸の回復を助けます。
 下痢が続きますので、牛乳や乳製品、ジュースなどは中止して下さい。吐気がなければ消化の良い食事は欲しがるだけ与えて下さい。下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。ひどい嘔吐には嘔吐止めを使用します。





2020年 10月25日 放送
子どもの食欲不振・食べ物の好き嫌い


 子どもは栄養のバランスなど考えませんし、食べたくなければ食べません。身体の発育状況によって、食欲のある時期とない時期があります。アレルギーのある食物では口の中が痒く感じたり嘔気を伴い嫌がります。見た目や以前に食べた時の不快な印象のある食物、食べたことの無い食物も食が進みません。
 食物の好き嫌いはどの子どもにもあります。離乳食の頃から色々な食材に慣れさせて好き嫌いを無くす努力は必要と思いますが、嫌いな食物が出来るのは仕方がありません。嫌いな食物も味などがまだ食べれる年齢に達していないだけかもしれません。小学生頃になると、多少の辛い物や刺激の強い物、硬い物でも徐々にですが食べれるようになってきます。ゆっくり進めて下さい。
 子どもは辛い食べ物、刺激の強い食べ物、味付けの濃い食べ物、硬い食べ物(歯ごたえは好みません)、舌触りが悪い食べ物などは嫌がる傾向があります。見た目がおいしそう、楽しく食事ができる、食べ物の色彩がきれい、良い匂いがする等では食欲が増進します。無理に食べさせるとかえって食事に対する悪いイメージを与えてます。友達と一緒に食べる(給食では食べてくれます)、外でのお弁当、外食なども有用です。
 野菜が嫌いな子では野菜を多く入れたお好み焼きやハンバーグや丼物、野菜ジュース、野菜を使ったお菓子なども利用すべきと思います。栄養バランスは週や月単位で考えれば良い事であって、1食1食で考える必要はありません。多少栄養のバランスが悪くても子どもは元気に育ちます。あまり神経質になる必要は無いと思います。代替となる食品もたくさんあります。ただ、食物アレルギーで嫌いになっている食物には注意をする必要があります。自然に、年齢が大きくなるにつれて、かなりの食物が食べれるようになります。





2020年 9月27日 放送
細気管支炎


 細気管支炎は細い気管支が狭くなり、肺に出入りする空気の流れが妨げられ、呼吸困難を伴いやすい病気です。
 気管支は枝分かれしながら細くなり、その最も細くなった末端部分が細気管支で、その先には肺胞という酸素と二酸化炭素を交換する部分があります。乳児の細気管支は非常に細く、炎症が起きると痰がすぐにたまって空気が通り難くなります。主な原因はRSウイルスで、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルスなど多くのウイルス感染症でも発症します。
RSウイルスは毎年、冬に流行する風邪のウイルスの1つで、毎年、10月から5月頃まで流行します。このウイルスは2歳までにほぼ100%が初感染をうけると考えられていますが、何度でも感染、発症します。しかし、再感染を繰り返す毎に免疫力も徐々に獲得し、症状も軽くなっていきます。大人や年齢の大きな子では鼻風邪程度で済みますが、乳幼児では稀に細気管支炎や肺炎となります。特に生後6か月以下の子では要注意です。
 初期は鼻水、くしゃみ、微熱、咳などの感冒様症状です。咳、鼻水などの風邪の症状が2日程続いた後、息を吐くときにゼーゼーという音がしたり、呼吸回数が多くなり、呼吸時に胸が凹みます。罹病期間は通常7〜12日で、ほとんどの乳児では症状は軽度で治ります。ただ、一部の乳児では、呼吸困難が悪化し、入院を必要となる場合もあります。小さな子が鼻水に咳を伴っている場合は小児科専門医を受診して下さい。
 RSウイルスなどの原因ウイルスに対する治療薬はありません。脱水気味になると痰が絡み、咳込みなどがさらにひどくなり、水分を取れず、どんどん悪くなります。こまめに母乳やミルク、お茶、イオン飲料水などの水分摂取を心がけて下さい。加温、加湿を心がけて下さい。咳き込んだ時には抱っこしてあげたり、上体を起こして背中をさすってあげると少し楽になります。





2020年 8月23日 放送
起立性調節障害


 寝ている状態から起き上がると、血液は重力のために下半身に移動して脳貧血の状態になるはずですが、脳の血流は自律神経の働きですぐに代償されて日常生活に大きな支障はでません。ただ、代償する力の弱い人では起立時の不調や立ちくらみが生じます。起床時に立ち上がると脳貧血の状態になりますので、朝に身体の調子が悪く、午後から回復して元気になります。朝起きられずに遅刻したり、学校に行けない。午前中はぼんやりしていて授業についていけません。これは「学校へ行きたくない」ではなくて「学校へ行けない」のです。思春期、春から夏にかけて起こりやすく、まじめで、一生懸命な子どもに多い傾向があります。なり易い遺伝的な体質があり、それに思春期の急激な身長増加、ホルモンバランスの乱れや心理社会的ストレスなどが加わった結果、自律神経のバランスが崩れてしまった状態です。身体を動かさず、冷暖房が完備された快適な環境が子どもの自律神経の発達を阻害しており、起立性調節障害の症状が出やすくさせています。
 症状は@朝なかなか起きられない、A朝に調子が悪く(しんどい、頭痛、腹痛など)昼ごろから良くなる、B立ちくらみを良く起こすなどです。午前中に調子が悪く、夕方からは調子が良くなり、夜遅くまで起きている子が多く、また思春期前後の子どもにでは登校拒否と間違えられる子どももおります。サボりたいのではなくて学校へ行けないのです。本人のしんどさを理解してあげてください。思春期の終わり頃には自律神経の発達も良くなりますので自然に徐々にですが改善してきます。それまでは本人や周囲が理解して、あせらず気長に体調を整える努力が必要です。ストレスを取り除く、軽度の運動を続ける、夜更かしや朝寝坊の生活習慣の改善を行う、朝早く起きて学校に行くまでに時間をかけて体調を整えるなども治療法ですが、薬もあります。ただ、基本は周囲がこの病気のことを理解し、適切な精神的サポートを早期から行うことです。子どものしんどさを理解してあげてください。





2020年 7月26日 放送
夏バテ


 夏の疲れやダメージが身体に溜まって生じる体調不良を夏バテと呼んでいます。暑さでの睡眠不足や食欲不振、スポーツなどのさらなる負担で身体の対応能力に無理が生じ、元気がない、すぐに疲れる、身体がだるい、イライラする 、食欲不振、立ちくらみ、胃腸の不調など漠然とした身体の不調や限界というサインが出ている状態を夏バテと呼びます。
 誘因には自律神経の不調、水分不足、胃腸の働きの悪化などがあります。暑くなると発汗や血管を広げて体内の熱を逃すために自律神経がフルに働いています。自律神経のバランスを乱す大きな原因は睡眠起床時間の乱れた不規則な生活と過度のストレスですので、早寝早起きの習慣で乱れた生活を正し、リズムを取り戻すことが大切です。また、高温多湿な夏では軽作業でも多くの汗をかきますので、これを補う水分補給が必要です。ただ、食事も水分ですので、空調の効いている室内では特別な水分補給は不要です。
 今年は3か月間程のダラダラした家庭内生活後の登園、登校ですので、疲れが蓄積した子や登園や登校が困難になる子どもが出てきています。周囲の大人が早めに子ども達の揺れている気持ちやその背景を感じとって、子どもの気持ちやストレス反応を受け止めて、話をよく聞いてあげて下さい。
 夏バテ予防対策には充分な栄養を摂取し、発汗機能を高め、十分に身体を休めることが重要になります。子どもはスナック菓子などを多く食べますのでこれらの代謝にビタミンB群は必須です。エアコンが効いた快適生活では発汗能力が低下してしまいますので、ゲーム三昧、ユーチューブ三昧を避けて、外で遊んで適度に運動をさせて発汗習慣を身につけさせて下さい。体力の限度を超えた行動を取らないように、疲れを溜めないように周囲がコントロールしてあげることも必要です。





2020年 6月28日 放送
夏の食中毒


 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。

2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。

3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。

4)腸管出血性大腸菌(O‐157など)
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。

5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。





2020年 5月24日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境やスポーツ活動などで体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなる状態です。
 7月下旬の梅雨明け直後に多く発症しますが、夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。室内でのスポーツも要注意です。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。
 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高くなります。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日の空調を止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。
 睡眠不足、運動不足などの体調不良は熱中症を起こしやすいため、スポーツ活動ではこのような状況を極力避けるようにして下さい。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。お水やイオン飲料水、経口補水液などの水分補給はこまめに行なって下さい。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。
 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。子供の顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要ですので、救急車を要請して下さい。





2020年 4月26日 放送
子どもの健康チェック


 5月5日はこどもの日です。元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。また、入学や新学期での環境の変化や自宅待機や集団の遊びの制限などのために大きなストレスがかかっていますので親子ともにストレス発散が必要です。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。副反応は全く無いわけではありませんが、自分の子どもへの個人防衛、妊婦さんや基礎疾患を持った子どもへの感染予防義務に加え病気の流行を抑制します。乳児の髄膜炎予防のためのワクチンは生後2か月から開始できますので、なるべく早期接種をお願いします。日本脳炎ワクチンは19歳までが経過措置で無料になる子もおります。接種無料券が使える年齢が限られています。不明な場合は保健所や小児科専門医に問い合わせて下さい。おたふくかぜワクチンなどの国の定期接種以外も、有料にはなりますが接種は可能です。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。治療は必要か、どのような治療法があるのかを理解することが大切です。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。





2020年 3月22日 放送
低身長


 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、サポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が経過して、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。一般的に、身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、早く止まる子もいます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。





2020年 2月23日 放送
子供の貧血


 血液中の赤血球やヘモグロビンという酸素を運ぶたんぱく質が減少し、肺で取り込んだ酸素を体内に運ぶ力が低下し、全身の代謝が低下してエネルギー不足が生じます。乳幼児では極端な貧血が3か月以上続くと精神や運動の発達が遅れる可能性が指摘されています。
 顔色が青白く、唇や爪などの色も白っぽくなり、元気がなく、軽い運動でも動悸や息切れがし、めまいなどの症状が出ます。
 主な原因は偏食による鉄分の不足です。乳児では離乳食が遅れた場合、幼児以降では偏食で鉄分やたんぱく質摂取の少ない子に貧血がみられます。牛乳には鉄分が少ししか含まれていませんので、牛乳を大量に摂取して食事量が少なくなると貧血になります。長時間走ったりジャンプしたりすることによる足底血管内の赤血球破壊が原因でおこるスポーツ貧血もあります。乳児期や思春期では成長が急激ですので、たんぱく質や鉄分の必要性が増します。また、思春期以降の女子では月経出血もありますし、やせ願望による無理なダイエットでは強度の貧血になります。
 鉄分は赤身の肉や魚の血合いに多く含まれます。鉄分は肉や魚などに含まれるヘム鉄と穀物や野菜などに含まれる非ヘム鉄に分類され、非ヘム鉄では腸管からの鉄の吸収率はよくありませんが、ヘム鉄やビタミンCが吸収を促進します。食事には肉や魚、野菜と果物を一緒に摂取することが望まれます。バランスの取れた食事が鉄欠乏性貧血を予防しますし、治療にもなります。食事療法で改善しない場合や強度の鉄欠乏性貧血では鉄剤を服用します。食事では鉄分の過剰状態にはなりませんが、薬やサプリメントの過剰摂取では、頭痛、食欲不振、肝機能障害、皮膚の黒ずみなどの副反応が生じますので注意が必要です。





2020年 1月26日 放送
薬嫌いへの服薬


 水薬しか飲んでくれない子、水薬は飲まない子、どのような薬でも飲まない子など薬嫌いも色々です。
 一日3回食後という表現が使用されます。しかし、満腹の時はなおさらまずい薬を嫌がります。特殊な薬以外、@子供での空腹時服薬は問題はありません。水で服用以外にも、A少量の牛乳、練乳、ジュース、スポーツドリンク、アイスクリーム、ヨーグルトなど好む飲み物や食べ物に混ぜることも可能です。混ぜる際には一部にのみ混ぜて、まずい薬の部分を食べさせた後はおいしい残りを食べさせます。ただ、マクロライド系抗生剤の一部などではジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなどに混ぜると薬のコーティングがとれ、苦みが逆に増強される薬があります。主食や主食に近い食品に混ぜることは避けたほうが無難です。Bスプーンや乳首で飲ませたり、スポイトや注射器で少量ずつ舌の奥に流し込む方法や、C粉薬を数滴の水で練ってペースト状にして頬部の口腔粘膜に塗りつけた後に水分を飲ませる方法もありあります。D冷たくした方が飲みやすくなります。アイスクリームを使用したり、時には薬を少量の水と混ぜて凍らせてシャーベット状にすると飲める場合もあります。E薬をオブラートで包み込んで飲ませる方法もあります。オブラートの外側をさっと水でぬらし、とろみを出して服用させて下さい。F服薬補助ゼリーではゼリーに薬を混ぜるのではなく、ゼリーの上に薬を置きさらにその上をゼリーで包むようにして使用します。粉の薬を少量の水でペースト状に練ったものをゼリーで包むと利用しやすくなります。特別なごく一部の薬を除き、薬は決められた時間ごとに飲ませないといけないほどの厳密さは必要ありません。






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