2023年 12月24日 放送
子どもの腹痛

 子どもの腹痛は便秘や下痢が原因のことが多く、急を要する病気は非常に稀です。「ウンチ」「オシッコ」に行きたい、「吐きそう」「筋肉痛」など色々です。「遊んでほしい」「しんどい」「行きたくない」「やりたくない」など体調不良や心因的な原因で腹痛を訴えることもあります。ストレスや欲求不満など子どもが嫌がることや不安に感じること、家族や友人との関係なども考えて下さい。小学生の高学年以上の子では起立性調節障害(自立視神経の機能失調で、血圧の調整うまくいかず朝の体調が悪く、朝起きられない)という病気のこともあります。

 顔をしかめたり、体を前屈する姿勢をとる場合は腹痛が強烈ということを示しており、早急に小児科専門医を受診して下さい。一般的には@おなかを手のひらでさすってあげることで本人は納得し、痛みが消失することがよくあります。どこか痛い部位があればさすってあげることで痛い部位に手のひらが触れて顔をしかめたり痛みを強く訴えますので、小児科を受診するかどうかの目安にもなります。Aトイレに座らせて排便をさせ、便の状態をチェックします。便秘や下痢による腹部の痛み、トイレに行きたいという不快感を腹痛として訴えることも多く、トイレで排便さすか浣腸で便を出してあげれば痛みは消失します。便をチェックして下痢や便秘などの状況や、便の色や臭い、粘液や血液の付着状況なども見て下さい。排便でも治らない場合や便の性状が悪い場合は受診して下さい。

 いつもの「ポンポンが痛い」だからなどと、子どもの訴えを無視しないで下さい。忙し場合は短時間でも結構ですから、お腹をさすってあげたり、話を聞いてあげたりして下さい。こどもは何かを訴えようとしています。






2023年 11月26日 放送
小児のインフルエンザ


 咳などを介して伝播、流行し、高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。

 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが毎年流行し、ウイルスは大小様々な変化を常におこしていますので、一冬で2、3回発症することもあります。インフルエンザワクチンはこれらの4種類に対応しています。現在は2種類のA型が流行中です。

 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、2〜7日間続きます。高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)などによる異常行動が生じやすくなります。高熱になると脳細胞から化学物質が過剰に放出されるため、神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。恐怖を感じるような幻覚では走りだしたりしますので、けがをしないように注意して下さい。

 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もありますので、病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。

 脳症は乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気ですが、解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。

 タミフルやリレンザなどの治療薬は発症2日までの使用で症状を軽くしますが、使用しなくても5日程度で治ります。






2023年 10月22日 放送
熱傷(やけど)


 暖房器具や調理器具での熱傷の多い季節になります。高温の場合は発赤や腫脹が出現し、腫れや水疱が数日間進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になり、皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。

 出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなどで、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱を覆う皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和し、水疱液には皮膚再生を促す成分が含まれていますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合はワセリンなどの軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。大きな水疱や範囲の広いやけどは受診して下さい。

 口や鼻の周りのやけどの場合は、熱い液体や蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、咳を伴ったり喉を痛がる場合は早期の診察が必要です。

 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも皮膚の同じ場所に長時間熱が加えられると低温熱傷が生じますので、直接皮膚に触れないようにして下さい。あまり動かない赤ちゃんや小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、低温熱傷以外にも脱水症や熱中症になる可能性があります。






2023年 9月24日 放送
こどもの誤飲事故


 子どもが有害なものを飲み込んだ場合に、@口の中に残っている場合は指でかき出します。胃の中に入れば2日程度で便に出ます。A食べた物を吐かせて出させます。指で舌の後方を押せば吐きます。吐きにくいときは牛乳(異物の胃への刺激を緩和する)や水を飲ませて吐かせます。ただ、吐かせてはいけない物(揮発性に物や酸やアルカリ性の強い物)がありますし、牛乳を飲ませてはいけない物(脂溶性の物は吸収が早くなり危険)があります。B揮発性の高い化粧品やガソリン、灯油、マニキュア除光液などは吐かせると数日後に肺炎をおこす可能性があり、すぐ受診です。C酸やアルカリ性の強い漂白剤やトイレなどの洗浄剤などは吐かせると口腔内や食道の粘膜をよけいに傷つけます。牛乳を飲ませて希釈してから受診して下さい。D食べた物の名前、成分、量がわかる箱やラベルを持って小児科専門医を受診して下さい。インターネットや日本中毒情報センター、病院で聞いてみて下さい。

 小児ではタバコ1本が致死量です。少量摂取以外は受診して下さい。加熱式タバコのスティックは小さく乳幼児でも一度に口に入ります。マグネットボールは小さくても磁力が強く、2個以上飲むと腸管を挟み、腸に穴が開くこともあります。水で膨らむボール状の樹脂玩具は腸内で膨らみ、腸閉そくのお可能性もあります。ボタン電池は胃に穴があくことがありますので、できるだけ早期に受診して下さい。菓子の乾燥剤のシリカゲルは大丈夫です。蚊取りマットやボトル、芳香剤、クレヨン、水性絵の具、食器用洗剤、石鹸、シャンプーなども少量であれば大丈夫です。できるだけ誤飲されないような配慮が必要ですが、小さな子は何でも口に持っていきます。誤飲した後の対処法を理解しておいてください。






2023年 8月27日 放送
夏バテ


 夏の疲れやダメージが身体に溜まって生じる体調不良を夏バテと呼んでいます。暑い夏の体温調節に多くのエネルギーを消費し、暑さでの睡眠不足や食欲不振、スポーツなどのさらなる負担で身体の対応能力に無理が生じ、元気がない、すぐに疲れる、身体がだるい、イライラする 、食欲不振、立ちくらみ、胃腸の不調など漠然とした身体の不調や限界というサインが出ている状態が夏バテです。

 自律神経の不調や胃腸の働きの悪化などが誘因となります。

 暑くなると発汗や放熱のために自律神経がフルに働いており、バランスを崩しやすくなっています。自律神経のバランスを乱す大きな原因は睡眠起床時間の乱れた不規則な生活と過度のストレスですので、夏休み中でも、早寝早起きの習慣で生活のリズムを安定させることが大切です。また、発汗を補う水分補給も必要ですが、食事も水分ですので、空調の効いている室内では特別な水分補給は不要です。

 暑いと体表面への血流が多くなり、胃腸への血流が少なくなって胃液などの消化液が減って胃腸に負担がかかりますし、冷たい飲料で胃腸の温度が下がり、消化酵素の働きも低下しています。

 夏バテ予防対策にはバランスの良い食事を摂取し、発汗機能を高め、十分に身体を休めることが重要になります。子どもはジュースやスナック菓子などを多く食べますのでこれらの代謝にビタミンB群は必須です。栄養バランスの良い、胃腸に負担の少ない食事内容も重要です。エアコンが効いた部屋でのジュースやお菓子、ゲーム、TV、ビデオやユーチューブ三昧といった快適生活では肥満以外にも発汗能力が低下し、自律神経の不調も生じますので、外で遊んで適度に運動をさせて発汗習慣を身につけさせて下さい。疲れを溜めないように周囲がコントロールしてあげることも必要です。






2023年 7月23日 放送
子どもの肥満とメタボリックシンドローム


 生活習慣は幼児期にその基礎がつくられ、小学生頃に完成するといわれます。食事での糖質や脂質の摂取増加、コンビニや自動販売機による間食、塾による余暇の減少とストレス、スマホの普及よる夜型の生活習慣と運動不足などが問題となっています。特に夏休み中は冷房の効いた部屋でのジュース、お菓子などの間食とゲーム、ユーチューブ、ティックトップ、テレビが問題です。暑いですが、熱中症に注意をしながら外遊びを増やしてください。

 内蔵脂肪型肥満、高脂血症、高血圧、高血糖などの危険因子が重なった病態がメタボリックシンドロームで、これらが軽度でも重なることによって動脈硬化が進行し、将来心筋梗塞、脳梗塞等へ進展していく危険性が高くなります。子どもの頃からのバランスの取れた食事と運動習慣が肥満を予防し、メタボを予防します。小児期の和食が「おふくろの味」として成人になっても好まれる食生活が重要です。

 2歳頃までの肥満は成人の肥満と結びつきにくいのですが、3歳以降の肥満の多くは成人後の肥満に結びつくとされ、小児期での肥満対策は重要です。少なくとも、間食を少なくした食生活を家族全員で実行して下さい。

 肥満はやせる努力よりも肥満しないように気を付けるほうが楽ですし、効果的です。特に、子どもでは身長が増加しますので、体重を維持するだけで肥満度が下がります。ただ、肥満でも肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝にならない児や肥満と見えない児が脂肪肝であったりもします。元気で、活発で、肥満が肝障害など体に悪さをしなければ肥満体であるということ自体に問題はありませんので、一律な肥満対策は避けて下さい。逆に、肥満を気にし過ぎて過剰なダイエットを実行する女の子では低身長、子宮や卵巣の発育不全、骨のカルシュウム沈着不足など将来の不妊や骨粗しょう症に繋がります。特に10歳代での過剰なダイエットは危険です。






2023年 6月25日 放送
夏の食中毒


 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症しますが、一般的には、菌が腸管内で増殖してからの発症ですので、8時間から数日後の発症です。

 腸炎ビブリオは夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。カンピロバクターは鶏肉を介する感染が主です。サルモネラは卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主で、乳幼児では重症化します。腸管出血性大腸菌は牛肉からの感染が主です。

 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管してください。ただ、冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。B菌を殺す:十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。

 低温調理法が話題となっていますが、殺菌には「75度で1分以上」の加熱という基準があり、それと同等の効果は「71度で3分」「63度で30分」とされており、肉や魚の表面の温度ではなく、中心部の温度が、この示された温度を超えて加熱される必要があることにも考慮してください。

 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は病原菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、一般的には使用しません。






2023年 5月28日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境やスポーツ活動などによって体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなった病態です。

 夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。空調のない室内でのスポーツも要注意です。マスクも息苦しさを伴います。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。

 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高く、子どものほうが暑さを感じています。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日の空調を止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。

 睡眠不足、運動不足などの体調不良は熱中症を起こしやすくなります。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。お水やイオン飲料水、経口補水液などの水分補給はこまめに行なって下さい。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。

 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。子どもの顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要ですので、救急車を要請して下さい。






2023年 4月23日 放送
低身長


 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、周囲からの精神的なサポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が過ぎて、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。身長の伸びは個人差が大きく、早く止まる子もいますので、「その内に伸びる」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、平均身長からどの程度低くて、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。

 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。

 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。

 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。






2023年 3月26日 放送
子どもの個性


 個性には変化しない先天的要素と環境や生き方によって変化する後天的な要素があり、各々個人が違う個性を持っています。

 「個性を大切に」と言われますが、学校や実社会では、集団行動や共通認識といった型にはまった考え方や行動が求められ、個性の強い子は「変わった子」とされて、個性を育めるような教育や育てられ方が行われることは稀です。また、「個性を尊重する」は「一般的に短所と考えられていることをも尊重する」という意味で使用されています。子どもに何か足りなかったり、多すぎたりする所があったとしても、改善してあげようと考える前に、まず、その個性の全てを「ありのままに受け入れてしまう」ことを実行して下さい。才能に発展しうる個性や創造力を大人が「常識」や「普通」という名の下で潰しています。皆と異なることは個性で、多様性のある個性が発揮できる状況は集団が進歩発展し、進化していくために必須なものです。

 子どもが思い通りにならない、自分と価値基準の違う行動をとると大人は当惑しますが、親や大人、幼稚園、学校の判断基準で子どもを判断するのではなく、好き嫌いや得意不得意、積極的や内気、協調性の程度、行動力信条、生活環境なども含め、その子の個性の特徴を踏まえた上で、社会に出た時に困らないように教育や指導をするのが大人の役割と思います。ちゃんとしつければ素直に親や学校の言うことを聞く子になるというのは幻想で、2歳頃の第一反抗期や思春期の第2反抗期の存在は、その子が自分で判断して主張する能力が身についているということです。逆に、親や学校、社会に反抗できない子どもの環境や精神状態の方が心配です。




2023年 2月20日 放送
薬嫌いへの服薬


 水薬しか飲んでくれない子、水薬は飲まない子、どのような薬でも飲まない子など薬嫌いも色々です。

一日3回食後という表現が使用されます。しかし、満腹の時はなおさらまずい薬を嫌がります。食後という1日3回の間隔が服薬のタイミングとして良く、忘れにくいというメリットから慣用的に用いられております。特殊な薬以外、@子供での空腹時服薬は問題はありません。水で服用以外にも、A少量の牛乳、練乳、ジュース、スポーツドリンク、アイスクリーム、ヨーグルトなど好む飲み物や食べ物に混ぜることも特殊な薬以外は可能です。混ぜる際には一部にのみ混ぜて、まずい薬の部分を食べさせた後はおいしい残りを食べさせます。ただ、マクロライド系抗生剤の一部などではジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなどに混ぜると薬のコーティングがとれ、苦みが逆に増強される薬があります。また、主食や主食に近い食品に混ぜることは、主食嫌いになると困りますので、避けたほうが無難です。Bスプーンや乳首で飲ませたり、スポイトや注射器で少量ずつ舌の奥に流し込む方法や、C粉薬を数滴の水で練ってペースト状にして頬部の口腔粘膜に塗りつけた後に水分を飲ませる方法もありあります。D冷たくした方が飲みやすくなります。アイスクリームを使用したり、時には薬を少量の水と混ぜて凍らせてシャーベット状にすると飲める場合もあります。E薬をオブラートで包み込んで飲ませる方法もあります。オブラートの外側をさっと水でぬらし、とろみを出して服用させて下さい。F服薬補助ゼリーではゼリーに薬を混ぜるのではなく、ゼリーの上に薬を置きさらにその上をゼリーで包むようにして使用します。粉の薬を少量の水でペースト状に練ったものをゼリーで包むと利用しやすくなります。特別なごく一部の薬を除き、薬は決められた時間ごとに飲ませないといけないほどの厳密さはありません。






2023年 1月22日 放送
子どもの服装


 衣服は外気温や年齢、発育、使用目的や状況によって選択する必要があります。生後1〜2か月頃では体温調節機能は未熟なために服の主目的は保温であり、全身を覆う長着が主体です。ただ、この頃に股関節の動きを妨げると先天性股関節脱臼になりやすく、オムツも含め下肢が自由に動かせる様な、ゆったりとした服装が基本です。

 保湿性や通気性の良い、頻回の洗濯にも耐えうる肌ざわりの良い木綿の下着、伸縮性が良く体型に合った動きやすい服、子どもが着脱しやすい単純な形の服を四季の変化に合わせて使用するのが基本です。一般的には服の主目的が保温である生後2か月頃までは大人より1枚多めの服装で、その後は大人と同程度、生後6か月頃以降は大人よりも1枚少なめと言われます。子どもは走り回りますので、大人よりも暑さを感じますし、発汗も多く、薄着が基本です。幼児では少なくとも大人よりも1枚少なめか同程度で、子どもが気持ち良く感じる服装にして下さい。

 冷たい空気は下に移動しますので、寝ている赤ちゃんは成人よりも寒く感じているかもしれません。逆に、床暖房やホットカーペットの上の赤ちゃんは、暖かく感じており、長時間になると低温熱傷や熱中症などにも注意が必要です。抱っこ紐での抱っこでは、お母さんの体温で赤ちゃんは温かくなります。ベビーカー内は夏では地面近いため暑くなりますが、冬は地面に近いほど気温が低く、風にも配慮する服装が必要です。

 暑がり、寒がり、よく動く子、静かな子など子どもの個性や体質の違いにも考慮が必要です。夏冬にかかわらず、下着は通気性や吸湿性が良い清潔な木綿の製品が基本で、冬でも子どもに発熱インナーの下着は不要です。

 自分で服を着れる場合は脱着しやすい服で、事故防止の観点からは紐類やフードは付いてない方がよく、なるべくシンプルな服を選んで下さい。








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