2019年 12月22日 放送
インフルエンザ


 咳などを介して伝播、流行し、高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛、咳など症状が出ます。年少児では脳症が、高齢者では肺炎が問題となります。
 2種類のA型と2種類のB型ウイルスが毎年流行し、ウイルスは大小様々な変化を常におこしていますので毎年感染しますし、一冬で2、3回発症することもあります。
 ウイルスと接触後1〜3日で発症し、2〜7日間続きます。高熱のために熱性けいれんや幻覚(幻視、幻聴)などによる異常行動が生じやすくなります。けがをしないように注意して下さい。
 ボルタレンやポンタールなどの脳症を起こしやすくする解熱剤があります。解熱剤は熱のため機嫌が悪く寝てくれないなどに限定してアセトアミノフェン(カロナール、コカールなど)を少量使用するなどにとどめて下さい。総合感冒薬(いわゆる風邪薬)のほとんどに解熱剤が含まれており、脳症を起こしやすくする解熱剤が含まれている薬もありますので、病院や薬局でもらう薬にも注意が必要です。
 脳症は小児、特に3歳までの乳幼児に生じやすく、意識障害や痙攣が長時間持続して脳に後遺症を残しやすい病気ですが、解熱剤を使用しなくてもなりますし、高熱だから脳症になるわけではありません。
 タミフルやリレンザなどの治療薬は発症2日までの使用で症状を軽くしますが、使用しなくても5日程度で治ります。タミフル使用時での異常行動が指摘されていますが、他の治療薬でも、治療薬を使用しなくても発生しています。高熱になると脳細胞から化学物質が過剰に放出されるため、神経系の未熟な小児では熱せん妄(幻覚、異常行動)が生じやすくなるためと考えられています。





2019年 11月24日 放送
熱傷(やけど)


 高温の場合は発赤や腫脹が出現し、腫れや水疱が数日間進行する場合もあります。また、40〜55度くらいの比較的低い温度でも持続的に接触すると低温熱傷になり、皮膚の深い部分まで障害されますので、見た目よりも重症です。
 出来るだけ早く熱傷の部分を冷やすことが大切で、冷やすことで熱傷の進行を止め、痛みも抑えることが出来ますし、傷跡が残りにくくなります。近くの冷たい水やお茶をまずかけて下さい。水道水を流しながらや洗面器に溜めながら15〜30分間冷やします。顔や体幹部では濡れタオルなど、衣服を着ている場合は衣服ごと冷やして下さい。保冷剤や氷などを使用する場合は冷やしすぎないように、広範囲であれば身体が冷えすぎないように注意して下さい。炎症を抑える作用のある軟膏も有用です。水疱を覆う皮膚は細菌感染を防止し、痛みを緩和し、水疱液には皮膚再生を促す成分が含まれていますので、水疱は破らないようにして下さい。破れた場合は軟膏をたっぷり塗って傷口を覆って、傷を保護します。水疱ができた場合や範囲の広いやけどは受診して下さい。
 深い熱傷では傷跡が残りますが、浅いやけどの場合でも赤みや茶色の色素沈着が残る場合がありますので紫外線対策の遮光は有用です。
 口や鼻の周りのやけどの場合は、熱い気体や水蒸気などを吸いこんでいる可能性があり、気道粘膜が腫れて、ひどい場合は気道閉塞を起こす気道熱傷を伴っていることがありますので、咳を伴ったり喉を痛がる場合は早期の診察が必要です。
 こたつやホットカーペット、カイロ、湯たんぽ、ストーブなど、低温でも皮膚の同じ場所に長時間熱が加えられると低温熱傷が生じますし、小さな子をホットカーペットや床暖房の上に掛け布団を併用して寝かせれば、乳幼児の体温は危険な領域まで上昇する可能性があり、脱水や熱中症になります。






2019年 10月27日 放送
嘔吐下痢症


 冬に大流行して頻回の嘔吐と下痢を伴います。潜伏期間は1〜3日で、嘔吐は1日程度で治まります。下痢は淡黄色や白っぽいクリーム色の水様便になることが多く、4〜5日間続きます。現在流行中の嘔吐下痢症は軽症で、下痢を伴わない子もいます。
 ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、パレコウイルスなどのウイルスが原因です。それぞれタイプが多数あり、毎年かかりますし、一冬に数回かかることもあります。これらのウイルスに効果のある薬はありません。
 患者の吐物や下痢便中にウイルスがあり、これらを触って、口の中にウイルスが入ることによる感染が主です。吐物や便を触った後は石鹸を使い水道水で手洗いを十分して下さい。消毒用アルコールは効果が不十分で、ミルトンやキッチンハイターなどの塩素系の消毒薬や漂白剤および85℃で1分間以上の加熱がこのウイルスの消毒に有効とされています。乾燥するとウイルスが空中に広がりますので、吐物や便を濡らした新聞紙などで直ぐに覆い、きれいに拭き取って下さい。
 嘔気のある間だけは食事を止め、20〜30mlのイオン飲料水やお茶を与えて下さい。その後徐々に1回量を増やし、十分飲めるようになったら出来るだけ早く消化の良い食事を開始して下さい。食事は腸の回復を助けます。
 下痢が続きますので、牛乳や乳製品、ジュースなどは中止して下さい。吐気がなければ消化の良い食事は欲しがるだけ与えて下さい。下痢は体に害のあるものを早く出すようにしている身体の防御反応の可能性が高いことを考慮して、乳幼児では薬で無理に止めないのが一般的です。整腸剤で腸の働きやバランスを良くして腸の回復を待ちます。ひどい嘔吐には嘔吐止めを使用します。





2019年 9月22日 放送
小児の発熱


 高熱になると機嫌が悪くなり困りますが、40℃以上になっても、風邪の高熱のみでは脳に障害を残しません。発熱は細菌やウイルスに対する防御反応の1つで、病気に負けて熱が出るわけではありません。体温が急上昇する際の寒気が強い時には毛布などで包みますが、それ以外は薄着が基本で、涼しい気持ちの良い環境にして下さい。ゼリーやアイスクリームやお菓子など、何でも食べてくれればありがたいと考え、数日間は栄養バランスを無視して下さい。
 水枕や冷却ジェルシートは子どもが嫌がれば止めて下さい。熱があっても機嫌が良ければ短時間の入浴は可能です。ぐったりしている、呼びかけに対する反応が悪い(意識低下)などの場合は救急で小児科専門医のある病院を受診して下さい。
 解熱剤は熱を下げて子どもの機嫌を良くしますが、病気は治しません。解熱剤で無理に熱を下げる必要はなく、解熱剤の使用は熱のために機嫌が悪い時や寝てくれないなどの時に限定し、アセトアミノフェンを使用します。インフルエンザでは他の解熱剤は脳症を起こしやすくなる場合もあり、使用しないで下さい。風邪薬といわれる総合感冒薬にも解熱剤は入っています。注意が必要です。
 熱性けいれんは6歳以下の子どもの5〜8%に生じます。身体全体が堅く伸びきったり、筋肉や手足がピクピクとリズミカルに動き、意識が無いのが特徴です。身体を揺すったり、口の中に指などを入れないで下さい。数分以内に止まり、後遺症は残しません。
高熱になると神経系の未熟な小児では熱せん妄といわれる幻視や幻聴などの幻覚や異常行動などが生じる場合があります。怪我をしないように見守ってあげて下さい。けいれんが15分以上、熱せん妄が1時間以上続けば救急受診が必要です。






2019年 8月25日 放送
夏バテ


 夏の終わり頃に夏の疲れやダメージが身体に溜まって生じる体調不良を夏バテと呼んでいます。高温多湿な環境では体温調節に多くのエネルギーを消費し、暑さでの睡眠不足や食欲不振、スポーツなどのさらなる負担で身体の対応能力に無理が生じ、元気がない、すぐに疲れる、身体がだるい、イライラする 、食欲不振、立ちくらみ、胃腸の不調など漠然とした身体の不調や限界というサインが出ている状態を夏バテと呼びます。
 誘因には自律神経の不調、水分不足、胃腸の働きの悪化などがあります。暑くなると発汗や血管を広げて体内の熱を逃すために自律神経がフルに働いています。自律神経のバランスを乱す大きな原因は睡眠起床時間の乱れた不規則な生活と過度のストレスですので、早寝早起きの習慣で乱れた生活を正し、リズムを取り戻すことが大切です。また、高温多湿な夏では軽作業でも多くの汗をかきますので、これを補う水分補給が必要です。ただ、食事も水分ですので、空調の効いている室内では特別な水分補給は不要です。
 暑いと体表面への血流が多くなり、胃腸への血流が少なくなって胃液などの消化液が減って胃腸に負担がかかりますし、冷たい飲料で胃腸の温度が下がり、消化酵素の働きも低下してします。
 夏バテ予防対策には充分な栄養を摂取し、発汗機能を高め、十分に身体を休めることが重要になります。子どもはスナック菓子などを多く食べますのでこれらの代謝にビタミンB群は必須です。栄養バランスの良い食事はもちろんですが、胃腸に負担の少ない食事内容も重要です。エアコンが効いた快適生活では発汗能力が低下してしまいますので、ゲーム三昧、ユーチューブ三昧を避けて、外で遊んで適度に運動をさせて発汗習慣を身につけさせて下さい。体力の限度を超えた行動を取らないように、疲れを溜めないように周囲がコントロールしてあげることも必要です。





2019年 7月28日 放送
子どもの外遊び、夏太り


 夏に外で遊ぶと熱中症や日焼けなどの心配があります。しかし、外遊びは体力や気力、自律神経の発育や精神的な発育に欠かせませんし、メタボリック症候群の予防にもなります。気候を感じ、怪我をして痛みを知る、友達と遊ぶことで協調性が養われ、ストレス発散の手段としても非常に有用です。外遊びや運動で汗をかく習慣は体温調節機能を向上させ、夏バテや熱中症の予防にも役立ちます。
 紫外線は、皮膚の細胞を傷つけ、日焼けを作り、皮膚で骨の発育に重要なビタミンDを合成します。紫外線で遺伝子が傷害されても、自動的に修復されます。また、日本人は黄色人種ですので、皮膚のメラニン色素を増やして紫外線の影響を受けにくくする機能を持っています。急に強い紫外線は困りますが、日頃から外遊びをさせて紫外線や暑さに慣れさせて下さい。外で遊ぶときに帽子や涼しい衣服、日焼けしやすい子ではサンスクリーン剤で防御する必要はありますが、極端な紫外線対策は不要と思います。
 空調の効いた快適な部屋でジュースやお菓子、ゲームやテレビ三昧の子どもが多くなり、夏太りや長時間のメディア漬けの子どもの精神状況(キレル子ども)が問題になってきています。
 外遊びやスポーツには外傷などの危険は伴いますが、経験になりますし、身体や精神を鍛え、思いやりや心の規範意識を育てます。公園などでは禁止事項が多くなり、大声を出してボールなどを追いかけられる場所も少なくなりましたし、異年齢間の交流や群れて遊ぶことも少なくならざる環境にありますが、危険防止を心がけて楽しい外遊びをさせてあげて下さい。





2019年 6月23日 放送
夏の食中毒


 ヒトは100兆個以上の細菌と共生し、毎日大量の細菌を食べていても病気にはなりませんが、稀に食中毒を起こしやすい細菌があります。
 腹痛、嘔気・嘔吐、下痢などの症状で発症し、菌が腸管壁へ侵入すると便に血液や膿が混入します。一般的には、菌が腸管内で増殖して発症しますので、8時間から数日後に発症しますが、ブドウ球菌などは食物の中で増殖して毒素を出し、その蓄積された毒素を食べての発症ですので食後1時間程度で発症します。

1、原因
1)腸炎ビブリオ
 夏の魚介類のエラや内臓に存在します。真水や低温に弱いため、よく洗い、冷蔵庫での保存が重要です。魚を調理したまな板や包丁の水洗いも大切です。

2)カンピロバクター
 鶏肉を介する感染が主です。便に血液が混入します。

3)サルモネラ
 卵、鶏肉、ミドリガメなどのペット類からの感染が主です。粘血を伴った緑色の水様便が特徴ですが、乳幼児では重症化します。

4)腸管出血性大腸菌(O‐157など)
 牛肉からの感染が主です。熱に弱く(75℃1分間で死滅)十分な加熱が最も有効です。血便になり重症化もします。

5)黄色ブドウ球菌
 調理人の手の化膿部から汚染します。おにぎり、お弁当などでの感染が主です。

2、対策
 食べた細菌数や毒素の量が少なければ自然に治ります。菌や毒素を少なくすることが重要で、@菌を付けない:食品や調理器具、手をよく洗う。A増やさない:なるべく早めに食べる。冷蔵庫などに保管する。B菌を殺す:冷蔵や冷凍では菌の増殖は止まりますが、殺菌はされず、冷蔵庫から出すと菌はすぐに増殖を開始します。十分な加熱処理を行うなどを心がけて下さい。加工肉では内部までの十分な加熱が必要です。子どもは重症化しやすいため、生レバーや生肉を食べさせないで下さい。
 抗生剤や整腸剤は使用しますが、下痢を止める薬は悪い菌の排出も止め、重症化させる可能性があり、使用しません。






2019年 5月26日 放送
熱中症


 熱中症は高温環境やスポーツ活動などで体内で作られた熱が生理的反応の適応範囲を超えた結果、体温を維持するための水分や電解質の代謝がうまくいかなくなる状態です。
 夏以外でも急に暑くなったときに、体が暑熱環境や体の発熱に馴れていないために生じます。@気温は高いときに起こりやすいのですが、気温はそれほどでもなくても湿度の高いときA前日に比べ急に気温が上昇したB無風状態C砂やアスファルトなどの日光の反射が多い所などが起こりやすいとされています。空調のない室内でのスポーツも要注意です。子どもの環境をチェックし、予防を心がけてください。
 晴天のときには照り返しのために地面に近い低い位置の気温が高くなります。特にベビーカーの中は風通しも悪く注意が必要です。晴れた日の空調を止めた車の中は非常に暑くなりますので、子どもを車内に放置する事は止めて下さい。
 睡眠不足や運動不足、体調不良などでは熱中症を起こしやすくなります。服装は通気性の良い、放熱を促進する服を使用し、外では帽子をかぶって太陽光をさえぎる服を選択して下さい。水分補給はこまめに行なって下さい。イオン飲料水を半分に薄めたものが適しています。
 発症予防のためや初期症状を見つけたときは涼しい環境で休ませ、水分補給を十分に取ることが重要です。日頃から外遊びを奨励し、暑さに慣れるような生活を心がけて下さい。
 子供の顔が赤く、汗をかなりかいている時は身体の深部体温はかなり上昇している可能性があり、涼しい環境下で休ませてあげて下さい。強い疲労感や嘔吐、意識障害などの症状が出ている場合は、点滴や入院が必要です。





2019年 4月28日 放送
子どもの健康チェック


 5月5日はこどもの日でした。元気さ、食欲、体格、運動能力、知的能力、やさしさ、行動、対人関係などチェックして下さい。入学や新学期での環境の変化に慣れていないためにストレスがかかっている子もいますのでサポートしてあげて下さい。

1)予防接種は予定通り接種されていますか。
 感染を予防できますし、かかっても軽症で治ります。副反応は全く無いわけではありませんが、自分の子どもへの個人防衛、妊婦さんや基礎疾患を持った子どもへの感染予防義務に加え病気の流行を抑制します。乳児の髄膜炎予防のためのワクチンは生後2か月から開始できますので、なるべく早期接種をお願いします。日本脳炎ワクチンは19歳までが経過措置で無料になる子もおります。接種無料券が使える年齢が限られています。不明な場合は保健所や小児科専門医に問い合わせて下さい。おたふくかぜワクチンなどの国の定期接種以外も、有料にはなりますが接種は可能です。

2)健診での身長や体重の伸びは順調ですか。
 健診での身長や体重の数値を母子手帳にある男女の年齢別の身長や体重を書き込めるグラフに印をつけて下さい。自分の子が日本人の平均に比べて身長や体重がどの位置にあり、伸び率はどうかなどがわかります。
 身長がかなり低い場合や伸びが悪い場合はホルモンの分泌が少ないなどの病気のこともあり、治療で身長が良く伸びる場合があります。治療は必要か、どのような治療法があるのかを理解することが大切です。2歳頃までの肥満体は問題ないのですが、小学校以降でかなり太っている場合は脂肪肝など肝機能や糖尿病のチェックが必要です。肥満自体が問題ではないのですが、身体に異常が生じるほどの肥満は困ります。
 逆に、やせ体型にも問題があり、ダイエットには低身長、子宮や卵巣の発育不全、将来の不妊や骨折のしやすい身体になる可能性があります。特に十代での過度のダイエットは危険です。





2019年 3月24日 放送
低身長


 低身長はいじめ、コンプレックス、精神的な問題などを引き起こすことがあり、サポートが必要です。低身長になる病気があり、その病気を治療することで身長が伸びる場合もあります。ただ、思春期が経過して、骨が成熟して身長が伸びなくなってからでは治療法はなく、遅すぎます。一般的に、身長は男児では17歳、女児では15歳頃まで伸びますが、個人差が大きく、早く止まる子もいます。「その内に伸びる」や「親が小さいから」という考えは困ります。親からの遺伝の影響は大きくありません。親、子が共に身長というものを理解し、治療は必要か、必要とすればどのような治療法があるのかを理解することが大切です。心配な場合は小児科専門医を受診して下さい。治療が必要な子では、早期からの治療が身長に良い結果を生みます。
 体質のための低身長もありますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが不足する病気の場合は不足しているホルモンを補充することで身長の伸びが良くなり、全身状態も正常化し、身体の働きも活発になり、元気になります。骨の病気やターナー症候群などの染色体の病気での低身長も治療可能な場合があります。強いストレスを感じている場合も身長の伸びが悪くなることがあります。
 骨を伸ばすのはたんぱく質です。たんぱく質などを多くしたバランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動は身長増加を促します。ただ、膝などに負担をかけすぎるスポーツは逆効果のこともありますので、楽しく適度にスポーツをするのが良いと思います。
 牛乳をたくさん飲んでも身長は伸びません。カルシウム、アルギニン、GHRP−2や成長ホルモン舌下スプレーなどのインターネットで宣伝しているサプリメントに身長を伸ばす効果はありません。




2019年 2月24日 放送
こどもの誤飲事故


 家庭では@口の中に残っている場合は指でかき出します。胃の中に入れば2日程度で便に出ます。A食べた物を吐かせて出させます。指で舌の後方を押せば吐きます。吐きにくいときは牛乳(異物の胃への刺激を緩和する)や水を飲ませて吐かせます。ただ、吐かせてはいけない物(揮発性に物や酸やアルカリ性の強い物)がありますし、牛乳を飲ませてはいけない物(脂溶性の物は吸収が早くなり危険)があります。B揮発性の高い化粧品やガソリン、灯油、マニキュア除光液などは吐かせると数日後に肺炎をおこす可能性があり、すぐ受診です。C酸やアルカリ性の強い漂白剤やトイレなどの洗浄剤などは吐かせると口腔内や食道の粘膜をよけいに傷つけます。牛乳を飲ませて希釈してから受診して下さい。D食べた物の名前、成分、量がわかる箱やラベルを持って小児科専門医を受診して下さい。場合によっては胃洗浄(胃の中を洗って飲み込んだものを出す)が必要となります。インターネットや日本中毒情報センター(中毒110番)や病院で聞いてみて下さい。
 小児ではタバコ1本が致死量です。少量摂取以外は受診して下さい。ジュース缶を灰皿代わりに使用しないで下さい。防虫剤のパラジクロルベンゼンはかけらを食べた程度では大丈夫です。牛乳を飲ませると吸収が早くなりますのでやめて下さい。お菓子の乾燥剤のシリカゲルは大丈夫です。蚊取りマットやボトル、芳香剤、クレヨン、水性絵の具、食器用洗剤、石鹸、シャンプー、一般的な化粧品も少量であれば大丈夫です。ボタン電池は胃に穴があくことがありますので早期に受診して下さい。できるだけ誤飲されないような配慮をお願いします。





2019年 1月27日 放送
かん虫、第一反抗期

 
 子どもはかわいいのですが、育児となると楽しさの中に多くの不安や困難を伴います。子育て中の友人や小児科専門医に相談して下さい。かん虫も反抗期もほとんどの子に出現しますし、特別な薬や対処法はありません。
 赤ちゃんが泣きやまない、夜泣き、食べない、すぐ不機嫌になる、つまり親が困る、大人の思うようにならないことを「かん虫」と表現します。赤ちゃんは成長するにつれ欲求が強くなり、思うようにならなければ腹が立つはずです。自我が芽生え、腹が立つことを覚えると「かん虫」が出てきます。子どもがうまく成長している証拠です。
 2歳頃になると走ったり、言葉を理解したり、行動の幅が広がると同時に、自分で出来ることに喜びを感じるようになります。色々な事に兆戦し、他人が手伝うと「自分で、自分で」と怒ります。急いでいるのにこれをされると、こういった時期だとわかっていても、理性と感情は別で、我が子ながら腹が立ってきます。
 自己が強く出始め、大人のいう「反抗期」です。ただ、子どもは反抗しているのではなく、騒いではいけない場所や急いでいるとか子どものためにという大人の都合や考えを理解できていないだけです。あと数年間はこういう時期だと諦めて下さい。
 出来なかったことに挑戦し、努力します。親にほめられたり、認められることを喜びます。能力がつき、失敗をすることで耐える能力が身についてきます。甘やかしすぎたり、制限のない自由奔放は困ります。悪いことや不注意なことには叱る必要があります。善悪の判断を教えてあげて下さい。これらの体験を通じて衝動にブレーキがかかり、忍耐力が身に付いていきます。
 子育て支援を目的に開発された子育て商品を十分に活用し、自分の生活も楽しみながら子どもを信じ、自信を持って自分たちの現実でのベストの子育てを模索していって下さい。




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